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相模鉄道、新型車両「12000系」を公開。能面をモチーフにした個性派

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 相模鉄道(相鉄)は、11月30日に開始するJR東日本との相互直通運転用の車両として新型車両12000系を3月28日に報道陣に公開。本車両は、相互直通運転に先立ち、2019年4月20日に営業運転を開始した。

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12000系は2019年11月30日から、JR東日本新宿方面への相互直通運転がスタート(撮影:編集部)

獅子口をモチーフとしたフェイスデザイン

 12000系のフェイスデザインは、公共交通機関として必要な「信頼のある顔」を目指し、能面の「獅子口」をモチーフにアレンジを施した。獅子が文殊菩薩という古来の乗り物で、「智慧(ちえ)」そのものの象徴とされていることに着想を得たという。

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獅子口をモデルとした個性的なフェイスデザイン

 フロントガラスの下には、2018年から営業運転を行なっている20000系に引き続きグリルを採用。ライトケースも20000系に準じているが、灯具が2つ(左側は装飾灯と尾灯、右側は前照灯)から3つ(左側は装飾灯、中央は前照灯、右側は尾灯)に、灯具周りがシルバーからゴールドに、それぞれ変更された。

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12000系のライトケース

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20000系のライトケース

「sustina(サスティナ)」初の塗装車体

 車体はステンレス(前頭部のみ鋼製)で、総合車両製作所のブランド「sustina」(ステンレス鋼の略号「SUS」と、「Sustainable」を組み合わせた造語)を採用。魅惑的な車両デザイン、環境親和性の高い車両、信頼性確保と車両ライフサイクルコスト低減の両立などが特長だ。

 また、側窓や乗降用ドアのフレーム周囲は、外板端部をレーザー水密溶接することで、インナーフレーム化を実現。従来のステンレス車体に比べ、見栄えがよい。

 ステンレス車体は塗装を施さない車両が多いなか、12000系は横浜の海をイメージした「YOKOHAMA NAVYBLUE」を身にまとう。鮮やかで深みのある色彩に加え、鏡のように磨き上げられたボディーは、撮影者や景色が映りこんでしまうほど、美しい。このカラーリングを眺めると、『もっとあぶない刑事』の港302(日産自動車のレパード)を筆者は思い浮かべる。

 車体でYOKOHAMA NAVYBLUE以外の色を用いているのは、車両番号の白、号車表示の白地、個別ドアスイッチ(半自動ドアボタン)のスカイブルーなどで、“アクセントカラー”といえるだろう。

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20000系に引き続き、個別ドアスイッチを設置

 相互直通運転先のJR東日本は、通勤形・近郊形・一般形車両の多くが無塗装。JR東日本の人々にとって、12000系はインパクトの強い車両になりそうだ。

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20000系は車体幅が短いストレートボディー

 車体は11000系と同じ拡幅ボディーとなり、1編成(10両)の定員は20000系に比べ、141人多い1552人。ただし、座席定員は12人少ない486人である(先頭車の乗務員室スペースを広くとったため)。

 先頭車の屋根上には、ATACS(アタックス、Advanced Train Administration and Communications System:無線式列車制御システム)のアンテナが設置されており、埼京線池袋―大宮間の直通運転を視野に入れているようだ。

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