アメリカ中間選挙、民主党が下院で勝利。現地では何が起きていたのか?
約2億人の個人情報を使って選挙戦略を
その個人情報には、名前、電話番号、年齢はもちろんのこと、趣味など一人につき最大500項目もの情報が集められ、より興味をもたれやすい広告を配信できるようになったそうです。
しかし、これらの広告は、感情に訴えかけるものが少なくなく、対立を煽り立てているとして、建設的な議論を阻害していると危険視する見方もあります。今回の中間選挙で、こうしたデジタル広告に投入された金額は約2000億円にのぼり、4年前と比べて24倍にも膨れ上がっているそうです。
先の大統領選挙でSNS戦略を担った「ケンブリッジ・アナリティカ」は不正に個人情報を入手していたとして大きな問題になりました。
この一件を暴露した内部告発者のクリストファー・ワイリー氏が、NHKの取材に応じました。中間選挙のSNS戦略に対し、「誰もが予測できなかった事態になっています。無害だと思われていたSNSによって、民主主義が損なわれるかもしれないのです」と番組の中でコメントしていました。
大統領の排外的政策に同調する「ミニトランプ」
トランプ大統領は、不法移民の排除など、不寛容で過激な発言を繰り返してきました。
最近では、トランプの支持者に頼るために、彼の政策に同調し、資金面で援助を受けたりしている「ミニトランプ」と呼ばれる存在が出てきました。NHKの調べによると、このような候補者は少なくとも66人いるとのことです。
アリゾナ州、上院・共和党のマーサ・マクサリー候補もその一人。かつてはトランプ大統領の排外的な政策を痛烈に批判していましたが、トランプ大統領の支援を受けるために彼に同調する姿勢を見せ、演説でトランプ大統領とともに「移民を阻止する壁を作ろう」とまで発言しました。
NHKの取材に応じたアメリカ政治評論家のジョン・ゾグビー氏は分断が深まるアメリカの現状に対して危惧しているものの、「アメリカは人々を分断する力もあるが、団結させる強い力を持っている。すべては政治家たちの指導力にかかっている」とコメントし、その自浄作用に期待しています。