誤振込されたお金は返さなくてよい?山口阿武町「4630万円返還拒否」騒動を弁護士に聞く/2022年上半期BEST10
坂口氏が予測する「刑罰」の重さは…
実刑になったとして、どのくらいの重さになるのか。
「世帯主に前科がないという前提で、『1円も弁償しませんよ』となると、実刑判決で執行猶予なしの3〜5年の期間刑務所に入れられるだけで終わる可能性があります」
え? そんな刑で済んでしまう? これでは悪が得してしまうような…。
「刑が終われば、この件に関してもう罰を受けることはありません。ですが、先ほど話した不当利得返還義務は、服役したからといってなくなるわけではなく、債務として残ります。よくあるパターンとしては、刑事事件になって『逮捕されたくない』とか『刑務所に行きたくない』という気持ちにさせてお金を返してもらうことです。
でもこの人の場合は『刑務所に入っても仕方がない』というようなニュアンスで言っているようです。そこまで開き直られると、なかなか自発的に返金してもらうのは難しそうです。」
借金返済に使ってしまった可能性も
ふと、警察に自首してしまえば、刑はさらに軽くなってしまうのか心配になった。
「これまで報道されていて、『捜査機関も今回の誤振込の事実の存在』についてわかっているので、法律上の自首が成立する可能性は比較的低いですね。今のところ刑が法律上軽くなることは想定できません」
使ってしまったお金の行き先というのは、銀行で簡単に把握できそうなものだ。なぜこんなにもうやむやにされてしまうのかが不思議だが、坂口弁護士は「振込先は調べればすぐにわかりますが、現金で引き出されて何かを買ったり誰かに渡したりした場合、ある程度追っていくことはできると思いますが時間はかかりますね」とのこと。