「奨学金2400万円」の医学部生も。“借りる大学生”の実態を取材した結果
「奨学金」と聞くと、ネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれない。学生時代に奨学金制度を利用した人たちのライフストーリーを通じ、奨学金を借りたことで価値観や生き方に起きた変化を描く、「東洋経済オンライン」の人気連載。
この度、その連載が書籍化され、『奨学金、借りたら人生こうなった』として発売中だ。奨学金の返済苦と若者の貧困に関する報道が目立つなか、著者のフリーライター・千駄木雄大氏(@yudai_sendagi)に奨学金を取り巻く実態を紹介してもらった。
逆オファーは「これまでに500件ぐらい」
――応募フォームから取材対象者の方を募るかたちで連載をしているそうですが、けっこう逆オファーは来ているんですか?
千駄木雄大(以下、千駄木):連載が始まってからこれまでに500件ぐらいきていますね。僕自身は奨学金を借りずに親のお金で進学したクチで、当初はここまで共感してくれる企画になるとは思いませんでした。学生時代の友人も何人かは奨学金を借りていましたが、奨学金が支給される毎月11日にはごはんをおごってくれたり、奨学金でギターを買ったような人たちだったので、そんなに苦労しているイメージはありませんでした。
――学生時代は奨学金を借りている人のほうが生活にゆとりあったりもしますからね。
千駄木:その一方で親が失業していたり、不仲だったり、あるいは一人親家庭で「奨学金を借りてないと生活できない」という訳あり組の友人もいました。この連載では基本的にそうした家庭環境から抜け出し、奨学金で人生を好転させた人たちを多く取り上げています。
コメント欄は「毎回戦争状態」
――奨学金の話が多くの人に注目されるのはなぜでしょうか。
千駄木:今や大学進学は多くの人が経験することですし、逆にさまざまな事情で大学に進学できなかった人にもフラストレーションが溜まっています。お金に苦労した経験は誰しもあることなので、とにかく言いやすいのはひとつあるのかなと。記事の配信先でも、たくさんコメントがつきますね。毎回、戦争状態みたいになっていますけど……。