BLネタが人気の4コマ作家を直撃!「自分の作品が売れたら日本は終わり」
日常に隠れるネタを引き出すために
──作品を読むと、そのあたりの愛情というか配慮が見て取れます。ちゃんとそういう方々に喜んでもらえるようなネタにしようと。ということは、かなり取材などはされたのですか?
松本:実際にそういう方々に出会うというよりも、SNSでフォローしてくださった方のプロフィールや発信内容を注意深く確認していきました。これまでちゃんと深く知っているとは言えないカルチャーだっただけに、色々と驚くこともありました。
──例えば、どんなところに驚きました?
松本:やっぱり、そういう方々が共感してくれるものって、ちょっと特別なシチュエーションが必要なのかなっと思っていたんです。だけど、色々調べてみると、腐女子の方は床と天井にすらBL要素を見いだせると知って。
──床と天井ですか? それはどういう観点で?
松本:正面に相対しているけれど、永遠に触れ合うことができない。このもどかしい関係っていう。
最大公約数のポイントが見えるように
──その視点は、すばらしいですね(笑)。今までそんなふうに自宅を眺めたことはないですね。
松本:鉛筆と消しゴムっていうのもあるんですよ。自分の過ちを必ず消してくれる。だけど、鉛筆があるからこそ、消しゴムのアイデンティティは保たれてるとか。特別なシチュエーションばかりじゃなくて、日常の中にもそういうネタっていうのは隠れてるんだなとか。
──そういう部分を知っていくと、よりポイントをおさえた作品を描けるようになりますね。
松本:最大公約数みたいなポイントが見えるようになりました。例えば、男性同性愛者で言いますと、筋肉はないよりあるほうがいい。長髪より短髪のほうがいい。ヒゲがないよりあったほうがいいとか。そういう部分って、日本だけじゃなくて、万国共通みたいなんですよ。だから、絵だけを読みに来る外国の方もいますからね。ストーリーとかわかんないだろうって思いますけど(笑)。