アンジャッシュ渡部建、“活動自粛”を経てたどり着いた新境地「ちょっとだけ前に進ませてください」
過去の投稿を全削除した理由
――つい最近、過去のツイッターの記録をすべて削除したことでも話題となりました。なぜこのタイミングだったのでしょうか?
渡部:まずインスタグラムから先にやったんですよ。Yahoo! JAPANの「RED Chair」で東野(幸治)さんとの対談記事(および動画)を告知しなきゃと思って過去の投稿を見返した時に、「嫌な思いをさせちゃうかな」「一緒に写ってる人にも何かあったら悪いな」と思って。それで1回ゼロにして、フォロワーさんに告知したんです。
ツイッターのみなさんにも、いずれご挨拶しなきゃという気持ちはあって。タイミングを見計らった時に、今回の本の発売に合わせようと。
失敗して絶望しても「時が解決してくれる」
――渡部さんのように大きな失敗をして、なかなか職場で上司や同僚との関係性を取り戻せない若者も多いと思います。そんな方にアドバイスをお願いできますでしょうか。
渡部:僕も渦中に周りから言われてぜんぜん響かなかったんですけど、「時が解決してくれる」ってことですね。放っておいて、グッと耐え忍んだら絶対楽になりますから。大丈夫です、絶対好転するので何事も。だから、まずは安心してほしいと思います。
自粛期間中の僕は、「なんであれやっちゃったんだろう」「あの時これできなかったかな」「この後どうなるんだろう」「子どもはどうなる?」「仕事はどうなる?」っていうので1日のほぼすべてを使ってしまう日々だったんです。
超難しいんですけど、それをやめられたら「今ここにあるものだけ」に集中できるようになります。最終的に仏教とかマインドフルネスとか、そういうものにたどり着く(苦笑)。結局は“今”を見るしかないんですよね。それが今まさに思い悩んでる人に響かないのもわかる。ただ、頭の片隅に入れておいてくれたらと。
あと人に話すだけでも本当に楽になると思うんですよね。誰でもいいので、話せるなら胸の内を話してみてほしい。僕も絶望したんですけど、何だかんだ2年半経ってこうやってしゃべってますから。見せてあげたいです、あの時の自分に。状況としては絶望してる当時からそこまで変わってないんですよ。相変わらず世間の風当たりも強いし、仕事もぜんぜんしてないし。
とはいえ、耐え忍べば絶対楽になる。だから、「何か解決しなきゃ」とか「何か始めなきゃ」っていうのは1回置いといて。とりあえず1日1日過ごしていくだけでダメージはちょっとずつ減っていく……って、俺が誰にアドバイスしてんだ(苦笑)! 言っててゾッとしました。僕のことはさておき、ほんの少しでも何かの足しになればと思います。
<取材・文/鈴木旭 撮影/市村円香 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>
【渡部建】
1972年、東京都八王子市生まれ。1993年、神奈川大学在学中に高校の同級生であった児嶋一哉に誘われ、お笑いコンビ「アンジャッシュ」を結成。2003年、NHK「爆笑オンエアバトル」五代目チャンピオンに輝き、ネタ番組では“コント仕掛け”のスペシャリストと呼ばれる。現在はコミュニケーションにした企業向けの研修などを積極的に行っている
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