「正直苦しいです…」売れっ子ハンドメイド作家がLINEで送った苦悩
趣味が義務に変わってしまった
想像を超えた作品への反響に、オーナーからの期待も加速していきました。さらなる増産を希望された咲人さんでしたが、実はこの頃から行き詰まりを感じ始めていたそうです。
「とりあえず『頑張ります!』とは返したんですが、カフェの仕事を終え、自宅に戻り、顧客ニーズに合ったデザインを考えるというサイクルを毎日繰り返していくうちに、だんだんといいデザインを思いつけなくなっていったんです」
気がつけば、気晴らしのサイクリングや友人との飲み会など、作品制作以外の時間がなくなり、リフレッシュができなくなっていたそうです。それでも咲人さんは制作した分だけを毎日カバンに入れて持参し、店頭在庫が切れないように努めていたそうです。
オーナーが、時にはアイデア不足に陥った咲人さんを気遣ってか、デザインのアイデアなどを提案することもあったそうでが、どんどん入ってくる注文には追いつかず、焼け石に水状態でした。
どうすることもできずに逃走
そんなある日の仕事終わり、咲人さんはふいに「逃げ出したい」と思ってしまったそうです。そしてその気持ちのまま、咲人さんはLINEで正直に悲痛な叫びをオーナーに送ってしまいました。
「自分が本当は何をやりたいのかとか、どうしてここまで切羽詰まっているのかといったことを、何も考えずに感情のままに吐きだしてしまったんです。すぐにしまった!と思ったのですが、時すでに遅しでした」
あふれ出した感情に混乱してしまった咲人さんは送信後スマホの電源を落とし、しばらく夜の街をさまよい歩いたそうです。その後は今まで感じたことのない脱力感に見舞われ、3日ほど一切の連絡を絶ち自宅に閉じこもったそうです。