大量閉店から復活した「ミスタードーナツ」。消費者を味方につけた“仕掛け”とは
掃除用品やお掃除サービスのレンタルを行う「ダスキン」が運営するミスタードーナツの業績が急回復しています。一時は収益性が低下し、赤字が続いたことで2015年3月期に1316店あった店舗は、2022年3月期時点で979店舗へと約340店舗縮小しました。
これにより退店による収益性の向上と、コロナ禍によるテイクアウト需要が追い風となり、1店舗当たりの稼ぐ力は大幅に改善しました。ダスキンは収益性を高めたミスタードーナツの出店を再び強化し、2025年3月期に営業利益をおよそ1.25倍に引き上げる計画を立てています。
2022年3月期に潮目が変化
ダスキンの2022年3月期の売上高は前期比6.1%増の1632億円。営業利益は同112.8%増の99億円でした。ダスキンの事業内容は、訪販グループ、フードグループ、海外展開の3つに分かれています。
衛生サービスなどを扱う訪販グループの2022年3月期の売上高は前期比1.7%増、営業利益は同20.1%増と堅調。しかし、ミスタードーナツを展開するフードグループの売上高は前期比19.9%増の438億円、営業利益は8.7倍の36億円に跳ね上がりました。
2023年3月は訪販グループが増収減益、フードグループは増収増益を見込んでいます。売上高の推移を見ると、フードグループは2022年3月期に潮目が変化し、会社の成長に寄与していることがわかります。
赤字体質に苦しんだミスタードーナツ
フードグループの売上高は2015年3月期の482億円から段階的に縮小し、2021年3月期にやや回復、2022年3月期に力強く回復するという道筋を辿りました。売上高が縮小していたのは店舗数を削減していたためです。2020年3月期に1000店舗を割り込みました。
実はフードグループは恒常的な赤字に苦心していました。2015年3月期は2億円、2016年3月期は15億円、2017年3月期は7億円の赤字でした。そのため、不採算店の退店を進めたのです。