外国で突然ツバを吐かれた!予想外の出来事に脳がたどる、驚きのプロセス
「常に時間が足りない」「大事なことに使う時間が欲しい」日々の忙しさからこのように思うことは多いでしょう。みなさん有意義な時間を増やす方法、知りたくありませんか? 自身のブログ「パレオな男」で月間250万PVを集めるほどの人気ブロガーである、科学ジャーナリストの鈴木祐さん(@yuchrszk)。
今回は、鈴木祐さんが2022年10月に出版した『YOUR TIMEユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(河出書房新社)より、「人間の脳と確率」についての項を紹介します(以下、同書より抜粋)。
人間の脳はつねに確率を計算している
物理的な実体が何もないにもかかわらず、なぜか私たちはみな「時間の流れ」を体験することができる──。いかにも難問ながら、ここ数年の認知科学の進展により、ありがたいことに時間の謎を解き明かすのに役立つ新たなアイデアが登場しています。その考え方とは、「人間の脳はつねに確率を計算している」というものです。
生体システムの維持や身体活動のコントロールなど、人間の脳が持つさまざまな働きの中で、近年の認知科学では「確率を見積もる機能」の存在を重視します。もともとは神経科学者のホレス・バーロウらが1950年代に提案し、それから現在にいたるまで、行動科学や認知科学などの各分野で妥当性が示されてきた考え方です。
確率と言われると、数学で習った「場合の数」や「組み合わせ」などの言葉が頭に浮かぶかもしれません。しかし、この考え方で意味する確率とは、あなたも気づかないうちに脳が無意識下で行う計算のことです。
文化の違う国で突然ツバを吐かれたら…
この考え方を理解するために、具体例で考えてみましょう。あなたが、文化のまったく違う国へガイドブックなしで旅に出たとします。言葉も通貨も習慣もすべてが異なるため、手探りで現地のルールと過ごし方を学んでいくしかありません。
そんな状況下、目の前に現れた男性が、こちらの手に急にツバを吐きかけてきたら、あなたはどう反応するでしょうか? 実は、他人の手にツバを吐く風習を持つ部族は実在し、ケニアのキクユ族などは、この行為を「歓迎」の表現として使います。