我慢できずにリアルデートを懇願

　その後、瑠美さんへの気持ちは収まるどころかさらに高まっていきました。そして結局、瑛人さんは次第にバーチャルだけのデートでは満足できなくなり、瑠美さんをリアルのデートに誘うことにしたそうです。

「実は僕、リアルでの恋愛経験は一切ないんです。なので、どのようにアプローチしたら良いか随分迷ったんですが、結局ゲーム中にさりげなく『リアルデートがしてみたい』と伝えたんです」

　それに対してネガティブな態度を見せていた瑠美さんでしたが、瑛人さんはめげずに毎日説得を続けたそうです。するとその甲斐あって、1週間後に二人の中間地点である駅のロータリーで会うことになったそうです。しかしデート当日、約束時間になっても瑠美さんは現れなかったそうです。その代わり、瑛人さんにLINEが送られてきたそうです。

アイコンが自分ではないという内容に…

「アイコンが自分ではないという内容でした。でも、アイコンの話になるといつも歯切れが良くなかったので、何となくそんな予感はしていたんです。なので、特に驚きはしませんでした。なので、すぐに安心できるような返事を考えて送ったんです」

　そのLINEから小一時間が経ち、ようやく瑛人さんの方へと少しぽっちゃりした一人の女性が歩いてきたそうです。遠くのほうから歩いてきた女性を見て、瑛人さんはその女性が瑠美さんであることを確信したそうです。

「もちろん、最初は瑠美さんのアイコンに惹かれていたし、それが理由で告白しました。でも、バーチャルな世界で話していく内に、瑠美さんの優しさや価値観といった外見からは見えない部分に魅力を感じるようになっていたんです」

　こうしてリアルな瑠美さんに会うことが実現し心が満たされた瑛人さんは、少し落ち込んだ様子の彼女をリードし、リアルデートを楽しんでもらうことに成功したそうです。それからは、バーチャルとリアルの両方で愛を育んでいった2人。いつのまにか、瑠美さんのアイコンは笑顔いっぱいのリアルな画像に変わっていたのだとか。

＜TEXT／ベルクちゃん＞