なぜ過剰な長時間労働は生まれるのか?「日本の悪しき労働文化」を弁護士に聞く
「自分は無能だ」と思わないで
その上で健康管理面の問題が発生したら、ある程度の是正が可能なのかを判断できるそうだ。
「労働時間で健康の確保を自分の裁量でなんとかしようと思っていていても、実はどうにもできないことが圧倒的に多いです。まずは『自分が無能だから』『自分のせいだ』と思い込まず、データ上で労働時間を把握し、『なんとかしないと』と思ったら、専門家に相談することです。このことをわかっていただけると、少しは未来が開けるのかと思います」
お金を稼ぐのも必要だが健康が何より大切だ。我慢して働くような職場環境なら、一度立ち止まってどうすれば良いのか考える時間も大事だろう。
<取材・文/大川 藍>
【笹山尚人】
1970年北海道生まれ。弁護士。94年中央大学法学部卒業。2000年弁護士登録。第二東京弁護士会に所属。東京法律事務所に入所。主として、青年労働者や非正規雇用労働者の権利問題、労働事件や労働問題を扱って活動している。著書に『人が壊れてゆく職場』『それ、パワハラです』『ブラック職場』(いずれも光文社新書)、『ブラック企業によろしく』(KADOKAWA)など