机や壁を叩いてヤバイ雰囲気に…27歳女性が見た、憧れだったホームヘルパーの現状
机や壁を叩くなどあきらかにヤバイ雰囲気に
利用者と息子から日常的に蔑まれるHさんを見ていた漆原さんは、事業所へは報告せず、しばらく我慢しようとしました。けれど、利用者や息子の言動はエスカレートするばかり。機嫌が悪いと、漆原さんとHさんが仲良くしているのさえも気に入らないようでした。
「そして、『女どもが舐めた態度とりやがって』と意地の悪い口調で言い放ちます。机や壁を叩くなどあきらかにヤバイ雰囲気になることもありました。そのうち、ホームヘルパーの仕事が楽しいと思えなくなり、嫌悪感まで抱くようになっていたのです」
Hさんのことは気の毒だと思いつつ、これ以上は我慢できないと事業所に相談。すると、「訪問介護は、利用者さんやその家族と密室になる。閉鎖された空間で嫌な思いをする職員も多いから、何かあったらすぐに相談して」と、きつく注意を受けてしまいます。
事業所に相談したらすぐ配置換え!
「怒られただけでなく、『何も言わないと、今回みたいにだんだん酷くなることも結構ある』とすごく心配してくれ、すぐに担当を変えてくれました。いろいろな施設で働いた経験を持つ介護歴20年のベテランが担当することになりましたが、難しかったようです」
「利用者や息子たちの態度は相変わらず。そのため、訪問自体をお断りすることになりました。いまでもときどきHさんのことが心配になりますが、実際はそれどころではありません。実は私自身も、いまの仕事が続けられるか不安です」
漆原さんは「また、男尊女卑な利用者の担当になったらどうしよう……」と、ビクビクしながら勤務しているとのこと。男尊女卑な考え方が、誰かの職場や家庭での居場所を奪ってしまわないよう、あらためて自分の言動を振り返ってみたいものですね。
<TEXT/夏川夏実 イラスト/葉月しあ(@shia_lifestyle)>
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