父親の失踪、月330時間労働…元ラーメン屋店長のNo.1ホストが歩んだ波乱の人生
源氏名は「ほとんど本名」
晴れてホストとなったものの、入店当初は指名が全く取れなかった。
「ついこの前までラーメン屋の店長だったので、黒髪で短髪とホストらしからぬ容貌。見た目を変えるために、当時の日給500円をコツコツ貯めて脱毛サロンに通いました。食事も満足に取れないので、最初にできたお客様にはよくご飯を食べさせてもらっていました(笑)」
入店から5か月ほどが経ち、減っていく体重と反比例するかのごとく売上は右肩上がりに増え、No.1ホストへと登り詰めるまでになった。売り上げを急激に伸ばすことができた背景には、ホストをやる上で「飾らない自分を売っていきたい」という彼のポリシーがある。
それは「大川 裕貴」という源氏名らしからぬ名前にも表れている。実際に大川は母方の旧姓であるため、本名のようなものだ。
不注意からお店を半焼させてしまう
「よく、『解釈や視点が他のホストとは違う』と言われます。それもあってか、お客様からこみ入った相談を受けることは少なくありません。僕がこれまでの経歴をオープンにしていることや、人と違う経験をしてきているからかもしれません。もちろん相談には親身に乗りますし、お客様1人ひとりと真摯に向き合うように心がけています」
現在は代表として店舗の運営にも携わっている大川さん。マネジメント面でラーメン屋の店長時代のある出来事が活きているそうだ。
「1度、お店を半焼させてしまうぐらいの火事を起こしてしまったことがあるんです。いつものようにスープの仕込みや接客をしていたら手が回らなくなり、火を消し忘れてしまったんです。当時は自分がやったほうが早いし正確だと思っていて、周りを信用できなかったことが招いた事故でしたね……。以降、猛省してなるべく人を頼るようになりました」