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父親の失踪、月330時間労働…元ラーメン屋店長のNo.1ホストが歩んだ波乱の人生

ビジネス

「月330時間労働」で過食がストレスのはけ口に

「父親が見つかったという連絡でした。なんと、失踪直後に自ら命を絶っていたんです。ショックや悲しみよりも『僕がしっかりして母を支えていかなきゃ』という思いのほうが強かったです。一人っ子ですからね」

 そこからは一層仕事に精を出し、アルバイトから社員、そして店長へと順調に出世していく。

「25歳くらいの時に店長を務めていたのですが、多いときには1日1000人以上来店する繁盛店だったため、労働環境は非常に過酷でしたね。何かあれば休日返上でかけつけましたし、平均して月330時間ほど働いていました。仕事のストレスもあり過食が止まらず、ひどい時には営業後の深夜にコンビニで数千円分の菓子パンを買い込んだりも……。そんな生活を続けていたので体重は今よりも15キロは重かったです(笑)」

運命を感じて3000円を握りしめ上京

大川裕貴

 心身ともに限界を迎えた大川さんは、約7年ほど務めたラーメン屋を退職。当時から、漫画『夜王』やケータイ小説『Deep Love』を読んで、ホストという仕事に興味をもっていたが、「まさか自分がホストになるとは夢にも思わなかった」と言う。

 せわしない日々から解放され、何気なく開いた夜職向けの求人サイトで最初に目に入ったのが、HAMRETの前身にあたる「ロミオグループ」だった。

『夜王』で舞台になるホストクラブの店名が『ロミオ』なんですよね。そんな馴染みのある名前がサイトのトップに出てきたので、これは運命だなと思い、勢いで上京しました」

 東京に降り立った大川さんの財布に入っていたのは、たったの3000円ぽっち。面接で合格し、その日のうちに店が用意した寮に半ば転がり込むような形で入店することとなった。

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