仲裁に入った若者も威嚇しはじめる

　すぐに作業員を立たせると、「何があったか知りませんけど、公衆の面前にこんな真似をさせるのはマズいですよ」と男性に諭すように話します。

　ところが、自分の息子ほど年の離れた若者に言われたのが気に入らなかったのか「コイツが勝手に土下座したんだろ」と答えます。まだ興奮している様子がわかりましたが、若者はまったく怯むことなく「店に入る時も見てましたが、あなたが一方的に怒鳴ってたじゃないですか。もっと冷静に話ができないんですか？」と言い返したそうです。

「自分よりもずっと年上の相手に向かってよく言えるなって感心しました。ただ、スーツ姿の男性は『関係ないヤツはすっこんでろ！』と今度は若者を威嚇し始めたんです」

若者の機転で男性の顔色が一気に…

「それでも動じる様子がなく、『別にあなたのこと、全然怖くもなんともないので』って淡々と話すし、傍目にはいい年した中年のおじさんが一方的に若者に絡んでいるようにしか見えませんでした（笑）」

　男性はさらに大声で恫喝するも効果はなし。すると、若者の1人が突然どこかに電話をかけ始め、「あっ、警察ですか」と言った瞬間、男性の顔色が変わりました。さっきまでの威勢の良さはどこへやら、何事もなかったかのようにその場を立ち去ってしまったそうです。

「実は、警察に電話をかけたフリだったんです。咄嗟にこんな機転の利いたことができるなんてスゴいですよね。一部始終を眺めておきながら立ち去るわけにはいかず、作業員の方には『大丈夫ですか？』と声をかけ、途中で助けに入れなかったことを謝りました」