鈴木エイト氏が語る、自民党と“統一教会汚染”「政治家の人権侵害はカルトよりひどい」
連日、自民党を始めとした多数の議員が統一教会(世界平和統一家庭連合)と関係があったと報道されている。
1990年にオウム真理教の麻原彰晃始め信者25人が衆議院選挙に立候補し、全員落選した。オウムは政治に参入することが叶わずに、むしろ敵対するようになった。一方で統一教会は、自ら表舞台に出ることなく、着々と政治家との関係を深めていった。
統一教会はどんな手法を使って勢力を伸ばしてきたのか。『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(2022年9月26日刊行、小学館)の著者でジャーナリストの鈴木エイト氏に聞いた。
統一教会の勢力拡大のウラに自民党
――新興宗教はたくさんありますが、こんなにも統一教会が勢力を伸ばせたのはなぜなのでしょうか。
鈴木エイト(以下、鈴木):統一教会の日本での本格的な活動の始まりは、岸信介さんが首相公邸として使っていた建物の隣に、統一教会が入ってきたことです。それで文鮮明とかなり親しくなったようです。韓国での教団結成は1954年で、その時は反共と言っておらず、その後、何年かあとに反共を掲げて朴正熙政権にすり寄っていきました。
それで政権に取り入るために統一教会は急に反共産主義を掲げ出したんです。そうやって便宜的に反共産主義を掲げて朴正煕政権に取り入って教団を大きくしました。その流れで韓国と日本で国際勝共連合を結成して、岸信介さんが後ろ盾になったのがスタートなんですよね。そこに日本の保守系の政治家や戦後右翼の多くを巻き込んで、どんどん日本の勢力を伸ばしていきました。
自分たちのスタイルを変える統一教会
鈴木:東西冷戦が終結して反共産主義の存在価値がなくなると、政治家が離れていきました。そこで今度は「文化共産主義」を掲げて、いわゆる男女共同参画や、今でいうLGBTQを共産主義のひとつだとしてターゲットを絞ったんです。うまく世の中の流れに合わせて自分たちのスタイルを変えているんですね。
男女共同参画基本法の見直しが行われた2000年代前半、統一教会や日本会議の人たちが地方で性の多様性に関する意見書を提出し、法整備を働きかけてきました。これがバックラッシュ(揺り戻し)の時代と言われている時期です。裏でこそこそやっていた策動が、改めて注目を浴び始めているのが今の状況なんですよね。
その時代に統一教会と安倍晋三さんと山谷えり子さん(自民党、参議院議員)がつながっていたことを書籍(『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』)に書きました。2005年教団の内部文書を入手したら、反ジェンダーとかを裏で推し進める策動に関するもので安倍晋三さんと山谷えり子さんの名前がしっかり載っているんです。