競争激化でユーザー離れも…キリン氷結「21年売れ続ける秘密」を聞いた
売場の観察から消費者インサイトを探る
チャレンジの裏では、村上氏のようなマーケターが消費者インサイトから嗜好や生活、価値観の変化を捉えて将来人気が出るものを予測。予測を元に商品コンセプトを立案している。言語化されていない消費者インサイトは見つけるのが容易ではないが、どうやって見つけるのか?
村上氏の場合は、売場の観察。スーパーやコンビニでお客さんの行動を観察しているという。
「お客さんのことは見ないとわからないと思っています。人がどこを歩いて何を考えて生きているのか、買い物をする時にどんな行動を取るか、売場で何を考えて商品をカゴに入れるのかをその場で感じて考え続けないと、インサイトはなかなか掴めないです。在宅勤務が増え家にいる時間が多くなりましたけど、外に出て社会の中にいるようにしています」
言葉にできない内側の思いをのぞく
子供がいる現在はペースを落としたが、以前は毎日、買い物しながら売場でお客さんの行動を観察していたというほど。このフットワークの軽さや売場でのお客さんの行動から何かを感じ取ろうとするところは、人が好きという生来の気質に加えて、キリンビールに入社直後から数年間は大阪で飲食店の営業を担当していた経験が大きい。
「マーケティングは人の心にいかに触れるか、人の心とブランドをどうつなぐかを考えるのが仕事です。お客さんの調査の際、『なぜ氷結を買ってくれているのか』『いろんな商品がある中で毎日氷結を選び氷結があることで気持ちがどんな風に潤っているのか』みたいな、言葉にできない内側の思いをのぞいて、考えながらインタビューするのが好きなんです。
人の気持ちに思いを馳せるのが好きなところは、人との関わりが深かった営業時代の経験も反映されていると思っていますし、マーケターとしての強みにしたいところです」