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競争激化でユーザー離れも…キリン氷結「21年売れ続ける秘密」を聞いた

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ピンチを救った2つのチャレンジ

「氷結」が長く支持されたてきた理由は何か? 村上氏はこのように言う。「時代に合わせてチャレンジすることで変わっていき、お客様への提案の幅を広げてきたことが、長く支持されてきた理由だと思っています」。

 これまで一貫して、スッキリしていて飲みやすく飲み飽きない味を追求。発売したフレーバーは期間限定ものも含めて200近くあるという。この20年もの間、後の缶チューハイ市場に大きな影響を与えたチャレンジもしてきた。

 初めての大きなチャレンジは、2003年6月に発売した「氷結 プレミアムフルーツ」シリーズ(現在は終売)。シャルドネスパークリングやロゼスパークリング、アップルヌーボーなどを投入。果汁感豊かな味わいを投入することで庶民的な缶チューハイにリッチなイメージを持たせ、飲酒経験が豊富で味にこだわりのある新たなユーザーを獲得した。

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2003年9月に発売された「氷結 プレミアムフルーツ」シリーズのホワイトピーチスパークリング(現在は終売)

 新たなユーザーを獲得するためのチャレンジをした一方で、直面したピンチを打開するために果敢にチャレンジした例もある。その象徴が、2008年5月に発売した「氷結 ストロング」。アルコール度数7~9%のストロング系と呼ばれるカテゴリーを生むきっかけなった。

コロナ禍で健康意識の高まりが

 当時はリーマン・ショックにより「氷結」ブランド全体の売上が大きく落ち込んだ頃。しかし、「氷結 ストロング」が話題を集めヒットにつながったことで、売上を復調させることに貢献した。

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2008年5月に発売した「氷結ストロング」

 再び成長軌道に乗った「氷結」だったが、2020年に再びピンチを迎える。レモンサワー人気から競争力の高い新商品が相次いで発売されたり、新規参入してきた強力なライバルが現れたりと、市場が一気に激化。ユーザーが他ブランドに流れていった。

 このピンチの中で登場したのが「氷結 無糖 レモン」。新型コロナウイルス感染拡大前から少しずつ見られた健康意識の高まりが、コロナ禍で急激に大きくなったことを背景にしてヒットし、売上を立て直す原動力になった。

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2020年10月に発売された「氷結 無糖 レモン」。アルコール度数4%、7%、9%の3種がラインナップ。9%は2022年5月製造分から現在のパッケージにリニューアルされている

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