嫌な単語をソフトな表現に変換するツール。“傷つきたくない”社長が開発
フィルターがあれば心の準備をしておける
戸田氏は言葉が与える悪影響をどのように考えているのか。
「無防備でいるとメンタルが蝕まれてしまいます。仕事でもプライベートでも適切な判断を下すためにはメンタルのコンディションが左右するため、生産性にも大きく影響を与えると考えています」
ところで、ひよこフィルターにはどういう言葉を追加すると有効なのだろうか。戸田氏は「“至急“とか“取り急ぎ”といった言葉も対応を急かされている際に使用されやすく、ストレスを感じてしまうため追加しています」と回答。
とはいえ、「ぴよぴよ」でフィルターをかけても、クリックすると追加した言葉が見られるため、フィルターをかける意味がないようにも感じる。
「確かにひよこフィルターをかけてもクリックすれば追加した言葉が目に入ります。ただ、僕は『殴られる』とわかっているほうが、無防備な状態で殴られるよりも、心構えができるため耐えられやすいと考えています。フィルターがかかっていれば、『厳しい言葉に触れる』と心の準備ができるため、メンタルへのダメージを減らすことができるのではないでしょうか」
会社として「売上は重視していない」
今後、ひよこフィルターをどのように展開していくのか聞くと、「実際にアプリを使ってくださった方の体験を基に、方向性を決められればと思います。これからユーザーさんの声を聞きながら、アップデートを重ねていきたいです」と答える。
「一応、今回リリースしたことで各メディアに取り上げてもらう機会もあり、多少の話題性はあったと思います。ただ、話題性だけでは弊社の理念を実現できないため、少しでも日常の豊かさに寄り添い、長く使用してもらえるツールにしていきたいですね。あまり売上を重視している会社ではないため、『他社がやりたがらないけど人の役に立つ』分野があれば積極的に挑戦していきたいです」
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感情の機微が読みにくいビジネスメールをソフトに変換し、SNSの“クソリプ”からもユーザー守ってくれるひよこフィルター。世知辛い世の中においてメンタルの負担を減らしてくれるツールとして今後も期待したい。
<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>