住民猛反対で「国費30億円パー」になった土地をまとめ上げた、業務スーパー創業者の“驚きの提案力”
神戸物産時代に培ったノウハウが強みに
「小国町にあった地熱の土地は共同牧野と言って、すごく広い土地を農家の方々が共同で使っていた農地で、牛を引っ張って放牧をしていました。ただ、農家の方々が高齢化し、完全な耕作放棄地。ススキの生えた荒れ果てた雑木の山でした。
でも、農地は農業従事者、農民でなくては買えないですし、その土地では必ず農業をしなくてはならない。でも我々は、農業のノウハウを持っていたため、農業法人をつくって、農地を買うことができた。そこで馬を放牧し、土地を蘇らせることができた実績も大きいです」
実際に、発電所を建設中の小国町には、「町おこしエネルギー」の100%子会社「小国町エネルギー」という現地法人を設立。その代表を「町おこしエネルギー」事業開発部の部長でもある岡本氏が兼務しており、現地での雇用にも力を入れている。
「現在は30か所の市町村からお話をいただいています。鹿児島県の湧水町とは今年の1月に『一緒に手を組んで協力しましょう』という協定書を結び、6月から掘削を開始しました」
地熱はいつ、主エネルギーに変わるのか
それ以外の市町村からは同意を得て、地熱の井戸を掘る前の「調査用の井戸」を自社チームが掘る段階にあるという。昨年は7か所掘り、今年は10か所以上掘る予定なのだとか。
莫大な自己資金を投じて開発されている地熱だが、現在も化石燃料に頼って生活する日本のエネルギーに変わる日は来るのだろうか。もしその日が来るならば、これまで利用していたエネルギーが地熱に変わっていく具体的なタイミングは、いつになるのだろうか。
「いまは、小国町で5000kW規模の発電所をつくっている最中で、2024年4月に地熱発電が完成します。すでに熱水を利用した、いろいろな実験や事業もおこなっていますが、やはり熱水が潤沢に得られるのは発電所の完成以降になります。完成すれば、熱水利用をした地域貢献事業も大規模にスタートさせることができるので、徐々に浸透していくと思います」