誰も電話に出ず、勤怠管理もない…“荒れた転職先”で孤立する男性の憂鬱
恩人が退社する事態
「松本さんから今年2月に社長を退任するかもしれないという相談を受けました。その理由は、副社長のAさんが主導して松本さんを解任すると言い始めているのも一因。また、会社には、Aさんの知り合いのベンチャーキャピタルからかなりの額を出資してもらっているのですが、一向にアプリゲームでヒットが出ないことで責任を負わされているとのこと。
松本さんも創業者とはいえ、会社の実権を握っているのはベンチャーキャピタル側で、いつの間にか裏でAさんと結託して会社を乗っ取ろうとしていたようなんです。相談を受けた数週間後には新しい社長にAさんが就任して、松本さんは解任されて役員待遇に。結局、会社を去ることになってしまいました」
自分をヘッドハンティングしてくれた恩人がいなくなったことで、田中さんの社内での立場も危ういものになったそうです。
会社を改革するもそれが裏目に
「Aさんからは仕返しのように毎日アプリの進捗を問われ、無理なスケジュールを要求されることになりました。部下も、いろいろと社内改革をした自分を煙たく思っていたらしく、誰も協力してくれませんでした。事業部長である自分の管理が悪いとAさんに密告する社員も出はじめ、完全に孤立した状況になってしまい、ストレスで体重も5キロ痩せました……。
秋にリリース予定になっているゲームが、もしも人気が出なければ自分のせいにされるでしょう。もう少し周りと上手く調整していればよかったと後悔をしていますが、いまとなっては後の祭りです。転職をしようと思っていますがなかなかうまくいかず、憂鬱な毎日を過ごしています」
転職によって人生が180度変わってしまった田中さん。会社を変えて良い環境を作ろうとしたのに、周りからの理解は得られなかったようです。職場で孤立しないためにも、人間関係は細心の注意を払うべきだということなのかも知れません。
<TEXT/高橋マナブ イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust>
―特集・若者の孤独―