外資系コンサルから「長身女性アパレル」で起業した女性社長。きっかけは“敗北感”
マレーシアでの研修で打ちのめされる
外資系コンサルティング会社の大手・アクセンチュア株式会社に入社した大倉さんは、新入社員研修で訪れたマレーシアで、人生観を揺らがすような経験をする。
「研修には、中国や韓国、インドネシアなどアジア各国の若者が集まっていました。一歩引いて遠慮がちだった日本人に対して、彼らは母国語が英語じゃないにもかかわらず、自信たっぷりに会話を交わしていて。マレーシアという国自体も、建物や文化、若者の活気などすべてがエネルギーに満ち溢れ先進的な雰囲気が漂っていました。それまでは『なんだかんだ、日本はアジアでもイケてる国』と思っていただけに、打ちのめされましたね。その際に感じた敗北感や悔しさが、今も根幹にあるかもしれません」
その4年後、大倉さんは株式会社バンダイナムコゲームス(現・株式会社バンダイナムコエンターテインメント)に転職。コンサル系からゲーム関連の企業という異色にも思える転身だが、根底には新入社員研修で感じた悔しさがあった。
バンダイナムコと「日本文化」
「日本をどうにかしたい、日本の魅力を知らしめたい……。マレーシアで過ごした日々を経てそんな思いを強くしました。『日本ならではの良さは、アニメやゲームなのでは』という考えに至ったんです」
同社では、海外における売上比率の伸ばし方や、日本のアニメ・ゲーム業界のマネタイズ、クリエイターへの還元方法などを考える「経営企画」を担当。フランス・パリで開催されたアニメイベントに足を運ぶ機会もあり、そこで大倉さんは日本文化の盛り上がりを目にする。オシャレで洗練されたイメージのフランス人たちが、日本のアニメキャラのコスプレをする姿は大倉さんを驚かせた。
バンダイナムコに約5年勤め、日本文化と改めて向き合った大倉さん。企業の一員として働くことに限界を感じ、2017年には同社を退職し、開業届を出した。
「アパレルブランドの立ち上げを目指しながら、前職の経営企画やコンサル知識を活かした仕事も並行していました。今振り返れば、この働き方は経済面でも精神面でも大きな助けになりましたね」
「ATEYAKA」は当初、「日本の良さを伝えたい」というコンセプトに基づいた「和風ブランド」としてスタートした。周囲からは「高身長ブランドはただでさえ少ないのに、高身長×和はニッチすぎる」と反対されたという。