なでしこが乗車していた車両は…

　……あった！ 車両は優先席の有無や広告枠の有無からしてJR東海の313系2600番台（3両編成・ロングシート車）。そして、なでしこが座っていたのは2両目の富士川・釜無川側の座席、富士側から数えて9番目の座席で間違いないだろう。

なでしこが乗る電車は313系2600番台、座っている席は2両目の富士側から9番目

　次は運行ダイヤだが、高校生が通学で平日朝に乗りそうな列車というと列車番号3621M、下り富士始発甲府行き（富士5時19分発・甲府8時07分着）の普通列車が該当しそうである。では高校生が下校時（帰宅）やバイト先に向かう時間帯に使えそうな電車はというと……生活スタイルにもよるが、それは恐らく存在しないことが分かった。

　というのも、313系2600番台は3両編成のロングシート車。身延線では2両編成のセミクロスシート車（313系3000番台・3100番台）の列車が多いため、313系2600番台によって運転される上り電車は、そのほとんどが静岡県側の西富士宮～富士や、甲府都市圏の甲府～鰍沢口といった需要が集中する区間・ラッシュ時間帯で局所的に運行される。

なでしこ達の町に来る電車は1本のみ

なでしこが利用している電車はおそらく内船駅6時16分発。（南部町・内船駅）早い！と思いきや次の電車は1時間半以上後の7時52分発。これでは遅刻してしまう…（写真は2022年3月ダイヤ改正前に撮影）

　そのため、甲府側から鰍沢口を越えてなでしこ達の住む町まで来る電車は朝ラッシュ時の1本のみなのである。なお、甲府～身延でも同編成による運転があるが、甲府の発車が21時過ぎのため、高校生が下校に使うことはないだろう。

　もし聖地巡礼の際になでしこ達が乗車していた313系2600番台に乗るならば車両運用をよく確認するか、本数が多い類似形式の313系2300番台・2350番台で運行される列車で我慢するしかない。ただし、後者は先述したとおり「セミクロスシート車」であるため、なでしこが座った座席（ロングシート）自体が存在しない。もし聖地巡礼観光するならロングシートではなく、あえてこのセミクロスシート車に乗るのも悪くないだろう（車両運用・ダイヤなどは2022年3月改正前のもの。運用は変わる可能性もある）。

　今回は2回にわたって「ゆるキャン△」のアニメシリーズをテーマに取り上げたが、また機会があれば「日常の中に聖地が散らばっている住民から見たアニメ作品」についてジモト目線で解説していきたい。そして「聖地からの目線」をほんの少しでも感じてもらい、「聖地巡礼」の参考にしていただけたら幸いだ。

＜取材・文・撮影／芝海しばうみ　若杉優貴＞