機長のアナウンスに隠された秘密。いつも同じ内容というわけではない
飛行機ほど、好奇心をかき立てられる乗り物はない。何度も乗っていると、つい見過ごしがちになるが、一歩踏み込んで観察すると、飛行機が謎や不思議の宝庫だということに気づくだろう。あの大きな機体には、数々の疑問が詰め込まれているのである。
なぜ飛行機はいつも1万メートルの高さで飛んでいるのか? 出発時の燃料をあえて満タンにしない理由は? 飛行機にまつわる謎や不思議を網羅した『最新版 飛行機に乗るのがおもしろくなる本』(著・エアライン研究会)より、機長のアナウンスに隠された秘密などを紹介する。
パイロットのカバンには何が入っている?
昔から飛行機のパイロットは、少年の憧れの職業である。そのパイロットがいつも持ち歩いているものがある。それはフライトバッグという黒いカバン。じつは、この黒いカバンの中には、航空法で携帯が義務付けられている物が入っている。
まず、ルートマニュアル。これは飛行場の見取り図や離発着に必要な手順、経路、方法が記載された航空用地図で、最低気象条件、緊急時の手順などの情報が詰まった書類である。各種ライセンスは、飛行機を飛ばすための資格で、操縦士技能証明、航空身体検査証明、無線通信士の免許など。
そのほか渡航に必要な書類、航法計算盤、飛行時間記録、航空機の性能表、懐中電灯、携帯用予備眼鏡などだ。ほかに、上空では太陽の光がまぶしいので、目を保護するためのサングラス、鹿革の手袋、ヘッドホンなどである。またあれば便利なものとしては、リップクリーム、目薬、デジカメ、電卓、辞書などがある。法定携行品から個人的持ち物までさまざま。
パイロットはあちこち飛び回るため、これらを入れたカバンをいつも持ち歩いているようだ。また、ルートマニュアルや各種参考資料は、内容が日々更新されるため、1週間ごとに差し替え作業を行ない、つねに最新の情報に更新されている。この航空情報が最新のものでないと、重大な事故につながる危険性があるためだ。
機長のアナウンスに隠された秘密
何度か飛行機に乗っていると、機長によってアナウンスが頻繁にあるときと、まったくないときがあることに気づく。機長のアナウンスは、その日の気分しだいなのだろうか。
機長は飛行中に乗客の飛行の安全、フライトの状況などをアナウンスし、それが乗客に与える影響を考えて、タイミングと内容には十分注意することが決められている。また、トラブル発生の緊急時には、乗客に状況説明と指示をアナウンスする義務がある。
アナウンスがあるときとないときがあるのは、フライトや乗客の状況によることが多く、気分しだいというわけではない。アナウンスしないときは、短距離のフライトで操縦に忙しい場合、悪天候などで操縦に余裕がない場合、フライトが夜間や早朝で乗客が寝ている場合などだ。