チキンの“部位指定”注文にげんなり…ファストフード店員の「地獄の時間」
「地獄のような時間」を過ごすハメに
「そのお客さんはなぜかずっとレジの前から動かずにせっせと作っているキッチンの奥を睨んでいるんです。殺伐とした空気が流れており、レジに立つ私にとってはまさに地獄のような時間でした」
ようやくチキンが出来上がると、お礼ひとつ言わずに憮然とした表情で帰っていったそう。
「時間をかけて揚げなおしたのだから、ちゃんとお礼の言葉は言うべきじゃないですかね。自他ともに認める温厚な私でも腹が立ちましたね」
いちアルバイトから一皮むけた気がした
その後、キッチンのスタッフたちに謝罪の言葉を伝えると、「茶山さんが悪いわけではないから気にしないで」とフォローが。店長も「まあ、無理な注文をしてくるお客さんはどうしてもいるからね。こんな夜分にうちのチキンを食べたいって思ってもらえて嬉しいよ」と笑いながら話していたそうです。
「みなの言葉に本当に救われました。チキンの調理ひとつとっても、多くのスタッフの手間がかかっているんですよね。アルバイトとして、業務を回すことしか考えてきませんでしたが、チームワークがあってこそ美味しい商品が提供できていると実感できたので、『結果オーライだったのかな』と思うことにしました」
ある意味、「共通の敵と戦う」ことで結束力がアップした出来事と言えるでしょう。当時のバイト仲間とはいまだに交流があるといい、この話も今では鉄板の笑い話となっているそうです。
<TEXT/萩ゆう イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>
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