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約30分で日用品が届くWolt。隆盛のデリバリーサービス業界で勝ち抜く策とは

ビジネス

独自のAI配達システムを構築

 さまざまな事業者が参入するなかで、フードデリバリー市場で生き残る鍵は「経営効率や継続率の高さ」だと高木氏は捉えているという。

ヘルシンキは人口密度が低く、フードデリバリーに適していない地域でした。そのため、いかに配達効率を高められるか。リピートして使ってもらうかが、事業成長には欠かせないポイントです。

 そこで、エンジニアチームがAIのテクノロジーを活用した独自の配達システムを開発し、過去の配達データを分析した上で、最適な配達パートナーと配達先のユーザーをベストマッチングしています。こうしたシステム基盤があるからこそ、ユーザーの注文から30分程度の時間でスピーディな配達を実現できるんです」

Woltが注力する「Qコマース」

Wolt Japan

Woltで注文したユーザーのもとにはお店からの「Thank you!カード」が届く。こうしたきめ細かな図らいが「おもてなしデリバリー」として認知度を高めることにつながっている

 そして、Woltが次に見据えるのがフード以外の食料品や日用品、化粧品などのリテール(小売)商品のデリバリーだ。日本にはまだマーケットとして存在しないQコマース市場だが、Woltはどのような事業機会と捉え、市場を創出していく予定なのか。

「Qコマースのマーケットはビジネスチャンスが非常に大きい」。こう語る高木氏は、新しい市場に期待を寄せる。

「外食産業は19兆~23兆円規模であり、そのうちフードデリバリーは数%ほどの割合です。まだまだ成長段階ではあり、市場規模はもっと拡大していくでしょう。小売に目を向けると、スーパーマーケットだけでも24兆円、ドラックストアやコンビニは6兆円ですが、ネットスーパーのEC化率は現在2%ほどにとどまっていて、ここに潜在的なオポチュニティ(好機)がものすごくあると感じています」

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