エンジニアからプロ棋士へ――どん底から将棋界を変えた男の奇跡
――棋士といえば、つねにプレッシャーと戦っていますが、どのようにしてそれに打ち勝っているのですか?
瀬川:練習しかないですね。やることはやったという自信がプレッシャーに勝つ一番の武器だと思います。誰もが勝負の前に「もっとやれたんじゃないだろうか」と思うことはあると思うんですが、そういう思いが少なければ少ないほど、自信が出てきますよね。あとは、力を抜いて、普段通りにやることも大事なことです。
――若い人たちのなかでも、やりたいことができないと悩んでいる人もいると思いますが、夢を実現するのに必要なものは何ですか?
瀬川:僕は自分の思いがちゃんと周りに伝わったからだと思います。最初「プロになりたい」と言い出したときはみんな半信半疑でしたが、僕が本気だとわかったときは、応援してくれるようになりました。それがあったからこそ、ありえなかった道を切り拓くことができたので、やりたいと思うことがあったら、自分のなかだけに留めておかないで、周りに伝えるのは大切なことだと思います。
――26歳で一度、夢をあきらめた頃のご自分と同じ年代である20代の読者にアドバイスがあればお願いします!
瀬川:もし、20代の僕に言うとしたら、自分だけの時間を増やすことを勧めたいですね。特に、僕は周りに流されやすい性格だったので、同じような人なら、自分と向き合う時間を持つことは大事だと思います。それが、僕の20代には足りなかったことですね。
<取材・文/志村昌美>
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