拡大するセリア、伸び悩むキャンドゥ。「100円ショップ」業界はどうなるか
コロナ禍の2021年度でも好調だった「100円ショップ」業界。これは、日用品や消耗品など必需性の高い商品を扱っていたためと考えられます。各社は今後も店舗数を増やすとしており、まだ拡大の余地があるとみられます。しかし、2022年からはインフレ・円安が加速し、従来の安売り業態では困難が予想されます。
原価高という足かせを抱えながら、さらなる成長を遂げることができるのでしょうか。本記事では、業界大手のセリア、キャンドゥの2社に加え、「300円均一」の3COINSが置かれている現状を紹介していきます。
セリア:店舗数が増え続けている
株式会社セリアはその社名の通り、100円均一の「セリア(Seria)」を展開しています。100円ショップ事業の単一セグメントで成り立っており、2022/3期末時点では直営1833店舗、FC(フランチャイズ契約)43店舗の合計1876店舗の体制を取っています。セリアの近年(2019/3期~2022/3期)の業績は以下の通りです。
【セリアの業績(2019/3期~2022/3期)】
売上高:1705億円→1815億円→2007億円→2081億円
営業利益:168億円→176億円→213億円→209億円
最終利益:115億円→121億円→147億円→143億円
店舗数:1592店舗→1679店舗→1787店舗→1876店舗
2022/3期は若干の減益も概ね堅調か
売上高、店舗数ともに伸び続けており、規模が拡大していることがわかります。2020/3期は2019年10月から始まった消費税引き上げ(8→10%)に伴い、一時期は売上が大きく落ち込んだものの、コロナによる衛生用品需要の伸びや店舗数拡大などが影響し、増収増益となりました。
翌2021/3期は既存店売上高及び全店売上高が伸び、1店舗あたりの売上が伸びたほか、前年同様の規模拡大が増収増益につながりました。必需性の高い品を扱っているためか、やはり需要が伸びたようです。
2022/3期は引き続き店舗数が増えましたが、年末やバレンタインシーズンの降雪など気候要因に影響されて既存店売上高が減少し、伸び率が減少しました。利益面ではパートタイマーの時給アップや拡大に伴う家賃地代の増加が要因となり、若干の減益となっています。まとめると、近年は既存店売上高が上下しつつも出店が続き、全社売上高が伸び続けてきた形です。