「難しい課題」に直面することも

タフな交渉が続いたが、無事成立することに

「『那須川選手と対戦したい』という武尊選手の思いを叶えるために、さまざまな調整を続けてきた」と、中村氏は言う。

　武尊選手がRIZINの試合会場を訪れた2020年12月31日の数か月前から始められたという交渉では、「通常の試合を組むよりも決めることが多く、ときには難しい課題に直面することもあった」（中村氏）という。

　だが、1年以上の長い時間をかけて試合ルールなどの調整を重ね、多くの人が待ち望んだ対戦が実現したのだ。「ほとんど交流がなかった」という団体同士が手を取り合って行われるイベントを目前に控え、「大変なことはありましたが、ようやく2人の対戦を形にすることができて嬉しい」と、中村氏はこれまでの日々を感慨深げに振り返る。

高額チケットの販売に踏み切った理由

　格闘技史上の歴代1位を争うと言っても過言ではない「THE MATCH 2022」。4月に行われた大会記者会見では、格闘技を含めたエンタメ界全体でも類を見ない1枚300万円（リング最前列・約50席）のチケットにも関心が向けられた。

　日本のエンターテイメント史上最高額とも言えるチケットの販売に踏み切った理由や、大会に向けた思いを中村氏は口にする。

「『価格が高すぎる』という批判の声も耳にしましたが、那須川選手と武尊選手による歴史的な試合の価値に相応しいイベントを実行委員会のメンバーで作りあげていかなければいけない。そんな強い使命感を感じました。実際、何らかの制限を設けないと収拾がつかなくなるくらいの反響がある状況だったので、思い切って強気の値段設定をさせてもらいました」