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コロナ倒産する企業はまだまだ増える?「賃上げできない企業」は苦境に

ビジネス

医療・福祉系企業の倒産が増加

森泰一郎

株式会社森経営コンサルティング・森泰一郎代表

 また2022年のコロナ倒産の特徴としては、医療・福祉系企業の倒産が増加していることも挙げられる。2022年2月には愛知県で総合病院「豊田若竹病院」を運営していた岐阜県の社会福祉法人如水会が、3月には有料老人ホーム運営や訪問介護事業を手掛けていた福岡県のウェルビス悠愛株式会社が同じく民事再生法を申請した。

「コロナ禍により病院にかかる人数が減り、調剤薬局の経営が厳しくなるだけでなく、高齢者福祉企業にもコロナで入居の見送りや稼働率を下げての運営を迫られ、倒産している企業が増加しています。病院自体はコロナワクチン接種の補助金で収益の出ているところも多いですが、その周辺では厳しい企業が今後も増加していくと考えられます」

 6月13日には一時1ドル135円にまで下がるなど、円安が今なお止まらない。原材料の高騰などから、飲食チェーン店や食料品、日用品までもが軒並み値上げラッシュに踏み切っている。

「賃上げできない企業」は苦境に

「首都圏を中心に最低賃金も右肩上がりになっているので人件費も安くありません。賃上げができる業種は問題ないのですが、賃上げをしにくい業種や、下請けなどで賃上げ分を価格を転嫁できる状況にない企業にとっては、この賃上げラッシュの中でもコロナ倒産に見舞われる可能性は大いにあります

 今後のコロナ倒産の推移について、「2022年下半期は高止まりとなり、2022年の倒産件数は2021年を上回る」と予想する森氏。飲食や旅行系に加えて不動産・建設系、遊戯系、医療・福祉系など幅広い業種で倒産が増加すると考えられるそうだ。

「2023年も依然として厳しい状況は続き、コロナ融資の返済の本格化に加えて、円安やインフレなど複合的な要因で経営が厳しくなる企業が一定数存在することから1800件程度には倒産件数が出てしまうでしょう」

 大企業だとしても油断はできず、ニーズに合わせたビジネスモデル変革や働き方の多様化、組織の統率を早急にしなければ企業としてはますます先はないということだろう。

<取材・文/角やえこ 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

斜に構えすぎて真っ直ぐになったフリーライター

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