コロナ倒産する企業はまだまだ増える?「賃上げできない企業」は苦境に
ハイペースで新型コロナ関連の倒産が続いている2022年。その中でも規模が大きな大企業や老舗企業の倒産も目立っている。5月には大手音響機器メーカーのオンキヨーホームエンターテイメント株式会社が、6月には横浜中華街にある中華・東洋料理店「聘珍樓横濱本店」を運営する株式会社聘珍樓がそれぞれ破産したことも記憶に新しい。
こうした大手企業の倒産にはどのような背景があるのだろうか。2022年の傾向と今後の見通しについて語ってもらった前回に引き続き、株式会社森経営コンサルティング代表、経営コンサルタントの森泰一郎氏に詳しく解説してもらった。
オンキヨーや聘珍樓が倒産した理由は
音響機器メーカーのオンキヨーホームエンターテイメント株式会社は1946年の創業(当時の名前はオンキヨー)以来、ホームAV製品やヘッドホン、イヤホンなどを製造、販売してきた。けれども、近年は手軽さや便利さを重視するといった、音楽の聴き方が多様化。
2020年3月期、2021年3月期と2期連続の債務超過で上場廃止となるなど、業績は以前から非常に厳しいとされていた。そこにきてコロナ禍の到来で、強みとする高音質を重視したホームAV製品の需要がさらに低迷したことが倒産の大きな要因となった。
一方の株式会社聘珍樓は数年前から続いていた経営悪化に加えてコロナ禍の長期化などで債務の支払いが滞ったことが要因だという。なお横浜中華街にある「聘珍樓横濱本店」は閉店するが、本店以外は別の法人が経営している。
倒産する大企業はまだまだ増える?
どちらも以前からの業績不振が、コロナ禍で決定打になったという点で共通している。この点について森氏は「DX推進やビジネスモデル変革などを進めなければ倒産する大企業はまだまだ増える」と予想する。
「ビジネスモデルの変革は待ったなしであり、変化や時代に取り残されていては今後のビジネスは危ういと言えます。大企業がコロナ倒産をしないためには、現場の声を常に、素早く拾うこと。大企業は中小企業とは異なって、現場から経営者までの距離が遠いのが一般的です。
さらにはオーナー経営者がすでにおらず、サラリーマン経営者というケースが多くあります。会社によっては管理系や技術系のバックグラウンドの経営者であったりすると現場意識が薄く、顧客の声が届きにくい会社になっているケースがあります。しかしコロナ禍では、顧客の声を常に耳を傾け、迅速に動けるようにすることが大事。生き残ってきた大企業はこのような特徴を持っています」