結婚式直前に「会社が倒産した」新郎。やむを得ずご祝儀を多く包むも…
近年は減少傾向にある企業の倒産。東京商工リサーチの調べによると、2021年度の全国の倒産件数(負債額1000万円以上)は5980件。ここ2年は新型コロナによる急激な業績悪化で倒産するケースも目立ちましたが、意外にも年間6000件を割り込むのは実に57年ぶりのことです。
とはいえ、倒産すれば多くの社員が路頭に迷うことに。なかには結婚式を目前に控えた時期に倒産で失業なんてケースもあります。
新郎の勤務先が結婚式の1か月前に倒産
会社員の岩本輝信さん(仮名・29歳)は大学時代、8歳年上の従兄の結婚式に両親と出席。ただし、彼が勤めていた会社は、なんと式の1か月前に倒産。無職の状態で式を挙げたといいます。
「ちょうどこの時期、私も就活中でなかなか内定が取れずに苦戦していたんです。おかげで精神的にキツかったですけど、従兄の場合は突然職を失ったわけじゃないですか。だから、私なんかよりずっとツラかったはずなんです。不安だって当然あったでしょうし、そんな状況でよく結婚式を挙げられたなって」
ちなみに後に、本人から聞いた話によると、当初は中止する方向で考えていたとか。ところが、すでに式まで日が迫っていて費用の50%という高額なキャンセル料が発生するため、悩んだ末にそのまま開催することにしたそうです。
決行することにした従兄の決意
「従兄の親にあたる叔父さん夫婦、奥さんのご両親にも倒産したことを報告したそうですが『そんなに取られるなら今やってしまったほうがいい』と式を開くことに反対しなかったようです。それに300万円近くかかった費用は、ローンではなく全額用意していたのも大きかったみたいです。新婚旅行はキャンセル料がまだ無料だったとかで中止にしたと話してましたけどね」
新郎は不動産関連の会社に勤めていましたが、失業したことを一部の親族や友人に報告。当時、彼は岩本さんの実家の近所に住んでおり、自宅に直接伝えに来たそうです。
「従兄の会社と直接の取引はなかったそうですが、ウチの父も同じ業界で働いていました。それで倒産の話を知ってすぐ連絡したそうです。けど、従兄は『起きたことは仕方ないし、やることが多すぎて落ち込む暇がない(苦笑)』ってそこまでショックを受けている感じではありませんでした」