「私が韓国の語られざる歴史を描いた理由」チャン・ジュナン監督を直撃
――役者さんもみなさん素晴らしかったです。特にパク所長を演じたキム・ユンソクさんは『チェイサー』、『哀しき獣』などで日本でも有名な俳優さんですが、鑑賞しているとき、キム・ユンソクさんだと分からなかったほどでした。
チャン:ハハハ。キム・ユンソクさんについては、韓国の観客の中にも、「似ているけれど、違うのかな」と言っている人が結構いたようです。というのも、彼が演じたパク所長というのは実在する人物であり、過去の資料をもとに、外見も出来る限り似せるよう努めたのです。
まず、あごの部分に薄いマウスピースのようなものを入れました。非常に小さいものですが、口元が変わり、印象をぐっと変えています。頭も髪の毛を抜いてM字型にしています。また、パク所長は巨体だったので、体を大きく見せるために、パットを入れたりと、さまざまな努力をしています。
――本サイトの読者は、1987年にはまだ生まれていない世代です。そうした日本の若者に、公開に向けてメッセージをお願いします。
チャン:この作品では、韓国において1987年に起きた特別な事件を扱っています。しかし、真実を信じる力、人を信じる力がどんなにすごいかということ、またそれぞれの人たちが、自分のいるポジションにおいて、最低限の良心を守り、また自分が正しいと持ったことをすることが、非常に大きな力になり、そうした力が集まると歴史を変えることができるのだということを描いています。
どの国のどの世代の人であれ、ともに感じることができる内容だと思います。日本の若い世代の方たちが、この映画を観て、人に対する希望や、少しの声を上げる勇気といったものを持っていただければ嬉しいです。
<取材・文・撮影/望月ふみ>
【公開情報】
『1987年、ある闘いの真実』は9月8日(土)より全国順次公開中