元アイドル、歌手、芸人…「参院選」はタレント候補も乱戦。参加は“推し活”で
水道橋博士の掲げる政策は他人事ではないけど…
今夏の参院選に立候補を表明している水道橋博士さんも、反スラップ法の制定という万人受けするとは言い難い政策を掲げています。水道橋博士さんは、YouTubeで大阪の松井一郎市長を批判する動画を視聴し、それをツイッターで拡散。水道橋博士さんが松井市長に言及したわけではありませんが、拡散した行為が名誉毀損として訴えられてしまったのです。
近年、政治家や大企業が口封じ目的で訴訟を起こすことが増加しています。政治家や大企業は顧問弁護士を抱えていたり、法務部があります。そのため、訴訟にかかる費用や作業時間はそれほどの負担になりません。
他方、訴えられた個人や零細企業は訴訟費用の負担が重くのしかかり、さらに準備のために時間を無駄に浪費します。準備に時間を削られている間は満足に仕事ができず、家族と過ごす時間も削られます。
政治家や大企業は勝ち負けにこだわらず、とにかく口封じを目的に訴訟を起こします。金や権力に物を言わせて訴権を濫用するのが、スラップ(SLAPP=strategic lawsuit against public participation)です。諸外国ではスラップを明確に禁じる法律が制定されていますが、日本にはありません。
SNSで誰もが発信できるようになった昨今、誰もがスラップに遭う可能性を持っています。決して他人事ではありませんが、有権者間に反スラップの機運が芽生えているとは言い難い状況でしょう。
「有名人を生で見たい」でも大丈夫
いわゆるタレント候補たちの選挙活動を取材していると、決して政治家としての理念や政策を疎かにしているわけではありません。きちんと政策を練っているタレント候補者もいます。
それでも、タレント・文化人としての活動が長いために、その活動がフィーチャーされてしまうのです。それは仕方がない話ですが、タレント候補も選挙に出ているからには必死で活動をしています。タレント候補といえども、出馬するからには落選したくありません。少しでも多くの有権者と接して、1票でも多く得票するように努めます。これは、有権者から見れば直に会って、話ができるチャンスです。
話をするために、握手をするために街頭演説に行ってもいいのか? そんなミーハーな気持ちで政治に関わっていいのか? と悩む必要はありません。最初は「有名人を生で見たい」という不純な気持ちでも構わないのです。街頭演説に足を運び、話を聞けばいろいろなことを考えます。そこから少しずつ学べばいいのです。
街頭演説では候補者も気さくに話をしてくれますし、一緒に写メを撮ることにも応じてくれます。近年はSNSが大きな力を持っているので、撮った写真を拡散すれば候補者は意外なほど喜んでくれます。新型コロナウイルスの影響で握手は難しくなりましたが、ハイタッチ・グータッチといった交流を拒む候補者はいません。