<漫画>平凡な女子高生が転落していく惨劇…。“裏社会”に精通する原作者を直撃
地味な生活を送る女子高生の日常が些細なきっかけで崩れていく様子をリアルに描いているのが、電子漫画雑誌「黒蜜」(白泉社)で連載中の『こんな人生は絶対嫌だ』(漫画:船木涼介、原作:丸山ゴンザレス)だ。
各電子書籍サイトでも人気ランキングの常連となっている本作品の原作を担当するのは、長年ジャーナリストとして世界の裏社会や危険地帯を取材してきた丸山ゴンザレスさん(@marugon)。今回の取材では、フィクションという領域に挑戦した理由や、本作の制作過程などを聞いた。また、インタビュー記事後に平凡な女子高生が転落していく『こんな人生は絶対嫌だ』の第1話前編を掲載。
【マンガ】⇒『こんな人生は絶対嫌だ』第一話を読む
もともと漫画の原作も仕事の1つだった
――すでにジャーナリストとして活躍されていたなかで、漫画原作のお仕事をはじめたきっかけは?
丸山ゴンザレス(以下、丸山):原作仕事自体は最近の仕事始めたわけじゃなく、以前から手がけていたんです。そもそもは『漫画実話ナックルズ』(ミリオン出版)とかで「実録漫画の原作とか原案とか書いてください」と原稿頼まれたのが始まりかな。
何回もやってるうちに仕事自体には特に違和感もなくなりました。漫画の原作も書く仕事のひとつだったんですよね。ただそれはあくまで実話を元にした読みきりだったり、立案者だったりとか、ストーリーとはまた全然違ってたんですけども。
――初めてストーリーのある連載の原作をやられたのは、『鳥居准教授の空腹』(幻冬舎)ですよね?
丸山:多分そうですね。実話の原作ばかりやっていた僕にちょっとストーリーもやってくださいと依頼があって、やってみたっていう感じですね。『鳥居准教授の空腹』は探り探りで、やっと最終話で今の僕のテイストみたいなのが出てきたかなとは思います。『こんな人生は絶対嫌だ』に関しては、もともと付き合いがあった編集さんが「黒蜜」を立ち上げるというので、僕のほうからやりたいと言いました。
原作が変化していく様子が楽しい
――漫画原作の仕事と他の執筆業との違いは感じますか?
丸山:同じ文章を書く仕事でも全然違いますよね。自分が書いたものを、他の作画してくれる漫画家さんだったりとか編集さんとかそういうプロフェッショナルの目を通して変わっていく。当初とは違う着地をしたりとか想像を超える部分が出てきたりとか、そういう変化を見るのはすごく楽しいです。
――本作の作画を担当されている漫画家の船木先生や編集者の方とはどのように協力して作品を制作しているのでしょうか?
丸山:原作が足りなくなってくると、新宿のルノアールで編集さんと打ち合わせします。そこで大体の着地を決めてそれを1回書いて送って。また編集さんと「ああでもないこうでもない」とチェックしますね。普通はここで終わりそうだと思うのですが、作画の船木さんが疑問に思ったところはフィードバックもらって、また僕のところで直したりしています。
船木さんが「こう書きたい」と言った部分に関しては、僕は絶対にストップしません。船木さんが絵を書いてストーリーを展開していく上で不自然だと思ったりするところとか、そういうところは直していいですよと、全部おまかせするっていう感じですね。