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シェア8割「アロンアルフア」インパクト重視の“奇抜なCM”戦略の狙い

ビジネス

 フィギュアの制作や小物づくり、家具のDIYや靴底のはがれ修理などに重宝するのが瞬間接着剤だ。暮らしの幅広い場面で使える日用雑貨品なので、家に常備している人も多いことだろう。そんななか、国内における瞬間接着剤のトップシェアを誇る「アロンアルフア」は、昨年で発売50周年を迎えた。

アロンアルフア

東亞合成株式会社 アロンアルフア事業部コンシューマ部 主査の安藤裕史氏

 長年にわたって支持され続け、不動の地位を確立しているのはなぜなのだろうか。東亞合成株式会社 アロンアルフア事業部コンシューマ部 主査の安藤裕史氏に、ブランド成長の理由について話を聞いた。

接着の速さや強さを持続させる工夫

 アロンアルフアは1971年に発売以来、瞬間接着剤の代表的ブランドとして成長を続けてきた。今では一般家庭やオフィスで広く使われている製品だが、当時から「品質管理にかなり力を入れていた」と安藤氏は説明する。

アロンアルフアは、“生もの”だと捉えてもらうとわかりやすいと思います。要は、生ものを放置すれば腐ってしまうように、アロンアルフアの接着液は空気や水分に触れると接着しにくくなったりと、時間の経過とともに接着性能が落ちてしまうんです。そうならないために、容器の中に乾燥剤を入れ、鮮度を保てるように工夫を凝らしてきました。接着の速さや強さを長持ちさせることを意識してきたのが、製品のリピート購入やブランド力の向上につながったと考えています」

インパクト重視のテレビCMの狙い

アロンアルフア

 加えて、消費者の認知を獲得するために、まだ瞬間接着剤という言葉が普及していなかった頃からいろいろな媒体で広告を打ったという。なかでもテレビCMは、アロンアルフアの知名度を高めるのに大きく貢献した。

「弊社はBtoBの会社なので技術や性能をアピールすることに注力しがちですが、インパクト重視のCMを作り、製品に興味を持ってもらうことを心がけています。『強力』や『瞬間』といった単純明快な言葉を選び、製品力の高さをわかりやすく伝えること。そして、あっと驚くような印象に残るCMを放映してきたこと。このような方針をもとに、地道な営業活動や販路拡大を行ってきたことで、今に続くアロンアルフアのブランド力を醸成してこれたと思っています」

 1976年からテレビCMを開始し、「バイクが壁にひっつく」や「ジープを崖に引っ張りあげる」など、斬新で目を引く描写で話題喚起に寄与した。安藤氏は「アロンアルフアは、何か物が壊れた時に使うリペア製品であり、突発的に生じた補修の際に想起してもらいたいから」だと言う。

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