ジョブズが行った「驚きのプレゼン」ポイントは3つ。読み手にとって迷惑な伝え方も
「言いたいこと」はいくつある?
正解は、次の6つです。
・世界最軽量
・最先端の高性能カメラを搭載
・長時間バッテリーを実現
・全5色のカラーラインナップ
・防水性も抜群
・顔認証システムでセキュリティも万全
どうでしょうか? 一度に6つも特長を伝えられても、頭の中に入って来ない、頭の中に残らない、そんな感じがしませんか? では、思い切って、優先度の高い最初の3つに絞ってみます。
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来月発売する新型スマートフォンは、世界最軽量で、最先端の高性能カメラを搭載し、長時間バッテリーを実現しています。
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これなら、「最軽量」「高性能カメラ」「長時間バッテリー」の3つは記憶に残りそうです。こうして言いたいことを削ることによって、重要度の高いものだけを、確実に伝えることができるのです。
たくさん伝えることは、読み手にとって迷惑
筆者は文章力養成講座で講師をしていますが、よくある質問が「いろんな人からたくさん情報を入れてくれと言われて困っている」というものです。たとえば、今回の例文のようなスマートフォンのメーカーの場合、パンフレットを作成する立場の方が、開発部の方に大量に資料を渡され、「あれもこれも情報を入れてくれ」と言われて困っている、というパターンです。
そんなときは「あなたが作っているパンフレットが達成するべき目的はなんですか?」と聞きます。パンフレットの目的は、お客様に製品を買ってもらうことです。そのためには、製品の特長を、しっかりと記憶に残るかたちで伝えなければなりません。開発者が伝えたいことそのまますべて伝えられても、お客様にとっては迷惑でしかないのです。結局伝えたいことは何1つ伝わらず、製品を買ってもらうことはできません。
文章を書く人間は、集めた素材をすべて伝えるのではなく、読み手の立場になって、選別しなければならないのです。これこそが、読み手ファーストの「何を言うか(What to say)」です。