シェアリングエコノミーも「モノ」から「コト」へ。体験を共有できる「民旅」とは?
旅行者に自宅を民泊用として貸し出す「Airbnb」、自家用車をタクシーのように手配できる「Uber」。そんなシェアリングエコノミーの新たなジャンルとして昨今、注目を集めるのが、「民旅」。旅先の地元住民たちが旅行代理店に代わって独自のツアープランを企画、提案できるシステムだ。
その旗振り役となっているのが、’15年6月にオープンし、地元住民と旅行者の交流の場となっている地域体験予約サイト「TABICA(たびか)」。
果たして、「民旅」とはいかなるものなのか? 旅先の住民がプランニングするツアーとはどのようなものなのか? TABICAの運営元である「Gaiax(ガイアックス)」代表執行役社長CEO上田祐司氏を直撃した。
――まずはTABICAというサービスを始めたきっかけを教えてください。
上田祐司(以下上田):僕、社員と田舎によく遊びに行くんですが、そこで現地の方々とよく交流させていただいて、それがめちゃくちゃ新鮮なんです。山を登ったり、木を切ったりするだけなのに、他のあらゆるエンターテインメントより面白い。
――自然で楽しむのは、田舎ではよくある光景な気もしますが。
上田:確かに、現地の人にとっては普通なんです。でも、それが旅行者には新鮮で、そのあたりをうまく伝えたいなぁと思って。それがきっかけですね。実際に事業化させたのは私ではなく、ウチの社員ですが、ただ私自身もここ4~5年は、毎年2、3回、横浜に住む知り合いのおじいちゃんの家で農業体験をしていて。バーベキューをしたり、ジャムを作ったり、そこのおじいちゃんと雑談したり。やっぱりのんびりしていますね(笑)。
――今年9月時点でTABICAでツアーを提供するホストは約2500人もいます。関東圏が多いようですが、上田さんもツアーに参加されたりしますか?
上田:はい。どうしても関東メインになってしまいますが、行きますね。つい最近も、酪農家さんのもとで、乳搾りをさせていただきました。何度か訪れたこともある酪農家さんのなんですが、目的は乳搾りというより、そこの社長さんと、「奥さんとうまくやってますか」とか無駄話すること(笑)。地元のコミュニティに招き入れてもらっているつもりですね。