なぜ日本より米国のワクチン接種率は低い?デモも発生、「自然免疫で十分」の声も
ワクチン接種をめぐって家族の分断も
筆者は前述した記事のさいごに<米国の「ワクチン接種者 vs. ワクチン未接種者」、この対立は今後どうなっていくのだろうか。注視していきたい>と書いたが、ワクチンをめぐり、職場の分断と同様に、家族の分断もさらに深刻化している。
自営業(女性)K.V.さんは「ワクチン未接種者=トランプ(ドナルド・トランプ前大統領)派のような図式が1人歩きして、まるで未接種者は(米国では)非国民のように扱われている。半年前、夫の叔母が寝たきりになりお見舞いと手伝いに行こうと連絡したら、未接種のあなたたち(夫婦)は来ないでほしいと言われた。こうして、現実的に(ワクチンによって)家族まで分断されている。悲しい」と吐露する。
「ワクチン接種しても感染・発症している。ワクチンパスポートも機能していない。高齢者や基礎疾患を持っている人など、ワクチンが必要な人に限定して接種するべき」と主張するのは自営業(男性)のR.O.さん。
R.O.さんは「(米国では)メディアはもとより、ソーシャルメディア(SNS)でさえも、われわれワクチン未接種者たちの意見は排除(削除)されている。日本はこの点で違う。厚生労働省のサイトに“職場の人や周囲の人に予防接種を強要したり、予防接種を受けていない人を差別したりしないで下さい”とある。日本は良心的だ」と指摘する。
「ワクチン接種はするべき」という人たち
一方で、ワクチン接種者たちは、未接種者たちへ怒りの声を上げる。
ワクチン接種済み(1回目は2021年4月にドジャースタジアムの集団予防接種場にて)のソフトウエア・エンジニア(男性)のI.K.さんは「ワクチン未接種者たちは、ワクチンがどうやって開発されたのかが分かる記事を読んだほうがいいよ。他国の医師の意見(ワクチンの安全性を疑うなど)を調べたりして、ワクチンに懐疑的な人たちのことは多少理解できるけど、個人の自由だとばかり訴えて接種しない人たちはダメだ」と憤る。
「政治がからんで(共和党と民主党の対立で)おかしなことになっているけど、みんながワクチン接種すればコロナは終息する。みんなが接種するべき」と強調するI.K.さん。
人それぞれ、人種も年齢も体格も体質も健康状態も違う。ワクチン接種したおかげで重症化せず命が助かった人も多い。その一方で、ワクチン接種したために長期間にわたって体調を崩している人もいる。死亡者も出ている。自分の身体の声を聞き、周囲の人同士が感染しないように注意しながら、コロナとうまく共存して経済活動を行なっていくことが大事なのかもしれない、筆者はそう思う。
余談だが、N95マスク着用に関しても、カリフォルニア州でたびたび発生する山火事の際に、州保険局は「心臓、肺に疾患がある人は呼吸する際に肺に負担がかかる」「小さな子どもはきちんと装着できず呼吸を妨げる」と注意喚起を行なっている。全ての物事にはメリットとデメリットがある。コロナ禍で私たちはさまざまなことを学んでいるのかもしれない。
<TEXT/藤本庸子 Yoko Fujimoto>