“スマホの奴隷”に…リモートワークで「生産性がダウン」する人の特徴
仕事中、「北京オリンピックで日本人が金メダルを獲得!」と、スマホ画面の速報通知が! つい試合の結果を見てみると、その横には有名タレントが不倫で別居したというニュース。無意識にそのリンクに親指を移してしまう。さらに、今度は気になっていたマンションの新着物件情報の表示も目に飛び込んでくる――。これは、2022年2月、このコラムを執筆していた際のある日のできごとです。
「あれ? もともと何の情報を見ようと思ったんだっけ?」
こうして必要もない情報が、間髪入れずに私たちの脳をハッキングしてきます。本来の目的は見失われ、仕事の集中力まで奪われてしまう始末。人材育成トレーナーおよびコンサルタントとして活躍する鈴木進介氏(@compas_suzuki)が寄稿します(以下、鈴木氏寄稿)。
スマホの通知で仕事力はダダ下がり?
ついでにスマホの利用時間もチェックしてみました。
「平均4時間」、これが私の1週間の平均スマホ利用時間でした。iPhoneの場合、スクリーンタイム機能によって、アプリの分野別利用時間まで確認できます。内訳をみると7割がSNS、2割が情報と読書、1割が仕事効率化という結果になっていました。
「あれ? ぜんぜん仕事していないじゃないか!」
単なる惰性と無意味な情報に接するだけに終始する毎日をすごしていたのです。1か月に仕事以外のアプリを利用する時間は全体の9割ですから1日平均「約3.6時間」ということは、1か月で「108時間(3.6時間×30日間)」、1年にすると「1296時間(108時間×12か月)」。日数にしてなんと54日分に該当します。
おそろしいほど“スマホの奴隷”になっていました。スマホが誕生してからというもの、私たちは“常時接続”の状態で大量のインプットが可能になりました。
ノーベル経済学受賞学者の予言
ところが、同時にスマホの弊害も目立つようになりました。必要がない情報まで勝手に視界に入り、脳に到達してしまうのです。仕事を効率的にしようと思っていたのに、逆に情報に埋没し、停滞することさえ起きてしまいます。
リモートワークは通勤などの移動時間をカットできる分、一見すると効率的なように見えます。しかし、“監視”の目がない在宅での仕事は、スマホを触る時間が増え、逆に非効率に陥ることが増えてしまうのです。
1978年にノーベル経済学賞をとったハーバート・サイモン氏は「情報の豊かさは、注意の貧困をつくる」という言葉を残しましたが、私たちに大切な示唆を与えてくれています。リモートワークになっても、スマホ依存になって情報量が増えると、一つひとつの情報に注意を向けることが難しくなる“現代病”への予言ともとれます。
手軽な仕事、手軽な情報収集は仕事力を下げてしまうリスクもあるようです。