「殺されるかも…」2世信者の女性が苦しんだ“婚前恋愛は堕落”という呪縛
“婚前恋愛は堕落”という教えと葛藤
両親と面と向かって会話するようになったのは“お兄さん”と“お姉さん”が家を出て行った中学校の頃から。以降は両親に対して「いまさら親ぶらないで」という反抗的な態度を取るようになった。
「両親からの監視の目はかなり厳しくなりました。世の中の甘いことや悪いことから遮断させるために、音楽やマンガ、ゲーム、テレビが完全禁止。また、婚前恋愛を“堕落”とみなして厳しく禁じている宗教だったので、『学校では男の子と付き合っちゃいけないよ。半径3メートル以内に近付くこともダメだよ』と口酸っぱく言われていましたね」
異性とのコミュニケーションの仕方がわからなかったものの、宗教に関係なく接してくれる友達に恵まれていたことから学校で孤立することはなかった佐藤さん。しかし、親から言われてきたことを真に受け、「男女関係で堕落してはダメだよ」と友達にアドバイスしたこともあったという。
「でも、思春期なので、次第に異性に興味を持っていきました。それは、これまで頭で学んでいたことと自分自身の心がバラバラになる感覚。そして周りの友達が恋愛をしていくようになると、次第に他人と違うことに苦しんで自分を隠すようになりました。この頃から宗教への戸惑いや葛藤が生まれ始めたと思います」
高校3年生で親からの教えを破るが…
こうした葛藤から、佐藤さんは子どもながらに両親に自身の恋愛観などを伝え、話し合いを重ねてきたという。頑なに婚前恋愛を禁止させたい両親に「無理矢理にでも私の薬指に指輪をつけて、私には結婚相手がすでにいるということにしてほしい」と頼み込んだことも。
「金髪に染めてピアスをつけ、黒ギャルにして『苦しんでいる私の気持ちをわかって!』と気持ちを表現していた時期もあります。それでも婚前恋愛はダメなことだという教えに逆らえず、心の根っこでは反発し切れずに親からの教えを守っていました。その後、本当に親に反発をしたのは高校3年生で異性との関係を持ってからです」
両親に反発する形で婚前恋愛禁止の教えを破った佐藤さんだったが、「幼い頃からの教えが染み付いていたので、親にバレるかもしれない恐怖や自分が汚い方向に落ちていく感覚があった」と振り返る。
「うちの親は婚前恋愛をした人間とそうでない人間を見抜けるかもしれない」という感覚にさえ陥っていたそうだ。