社長失踪、負債59億円で「全店閉店」のパン店が復活。新オーナーに“計画倒産説”を直撃
「計画倒産だったのでは?」との憶測も
――明日から仕事がなくなる、と。それほど突然だと、社員の皆さんはさぞ驚いたことでしょう。
小嶋:正直、社長が失踪したときは会社が潰れるとは思ってもみませんでした。ベルベの後処理は役員たちが行なっていますが、何しろお金の流れも不透明な部分が多いため、先述の弁護士事務所に相談しながら進めていたので、破産申請にも時間がかかったようです。
――ネット上では一部、「計画倒産だったのでは?」との憶測も飛んでいます。
小嶋:倒産の経緯はお話したとおりで、計画倒産というのはまったくの事実無根です。私どもとしては、どこをどう調べてもらっても構いません。
リベルベのオープンの壁は賃貸契約だった?
――その最中に、小嶋さんはリベルベのオープンを決めたのですね。その経緯を教えてください。
小嶋:いつかは起業したいという思いが頭にあったため、いい機会かもしれないと思ったんです。私は、お客様が求めるベルベのパンを作れるし、元店舗に居抜きで入るのが一番資金も抑えられるので。また、SNSでベルベの再開を求める声を多く見かけたのと、元社員に直に事業継続してほしいと連絡をしてくる人までいたので、挑戦してみようと決意しました。
――起業をするにあたって困難はありましたか。
小嶋:もっともハードルになったのが、賃貸借契約の更新でした。そもそも、私が法人にならないと契約のテーブルにも着けないので、昨年12月に株式会社Azの法人登録をしてから、ベルベ・半蔵門の弁護士事務所・大家さん・不動産デベロッパーの4社と話し合いました。
契約を結ぶ前にまず、元の借主との契約を解除しなければならないのですが、社長が失踪したベルベにはその力もなく、大家さんとベルベの双方に理解を得て権利を破棄してもらいました。愛甲石田店が一番早く、その許可が得られ、現在、他の店舗でも同様の交渉を進めています。大家さんには前向きな反応をいただいています。