アマゾンに負けない「モノタロウ」、顧客7倍・純利益最高の要因を探る
市場拡大の影響が圧倒的に強かった
コロナ禍では小売や飲食各社の大幅な業績悪化が報じられていましたが、国内製造業は減収した企業が多いながらも倒産が多発するほど悪化していません堅調な製造業の需要に支えられてMonotaROの売上高も上昇したと考えられます。コロナでも市場拡大の影響が圧倒的に強く、成長を維持できた形です。
ちなみに同社の株価はコロナ禍で上昇しましたが、直近ではこれ以上の好材料が無く下落しています。2017年末に1000円を下回っていた株価は2019年末に1400円台を推移し、コロナ禍での好成績が買われて2021年2月に3400円を突破しました。
しかし、その後は下落に転じ、2022年2月(原稿執筆時)は1800円台を推移しています。業績悪化によって株価が下落しているのではなく、拡大を見込んですでに買われてしまった感があります。
競合他社との差別化に成功
モノタロウの競合としてアスクルやAmazonをあげる人もいます。しかし、アスクルはオフィス用品に特化した通販でありAmazonは一般消費者向けがメインです。同じ製造業向けでは売上高3000億円規模の「ミスミ」がありますが、ミスミは金型の製造も手掛けるのに対し、モノタロウは消耗品に特化しており利益率もミスミより上です。
消耗品は種類も豊富で顧客の需要を予測しにくい分野ですが、モノタロウはデータを駆使して商品の取捨選択を図っているとみられます。自社の得意分野を定めながら競合との差別化に成功しているため、EC需要の拡大に伴って今後も業績規模は伸び続けるでしょう。
<TEXT/経済ライター 山口伸>