「タワマン修繕費の高騰」でローン破綻者も…2022年の大規模修繕ラッシュで何が
3割超のマンションが積立金不足に
さらに「終のすみか」として都内のタワマンを購入した70代の男性は、管理組合が決断した積立金の値上げで計画が狂った。
「2年ほど前、それまで2万2000円だった修繕積立金が、突然5万円に値上げされました。月20万円ほどの年金収入しかない老夫婦にとってかなりの負担増です。貯金をはたいての一括購入だったのでローンはありませんが、手元に現金がない状態が続いています。
管理費と修繕積立金、固定資産税などを合わせ、毎月7万円は払っており、妻からは『処分して都営住宅に引っ越したほうが気が楽』と言われました」
ちなみに国交省の2018年度調査では、1688件のうち、34.8%のマンションが修繕積立金不足に陥っていることが明らかになっている。「週刊SPA!」が入手した、築6年の都内の某タワマンの修繕積立金の資料によると、12年後に控える大規模修繕時に一戸あたり220万円を負担しなければ、修繕費を賄えないと記されていた。
積立金不足の最大の要因は…
さらに『日本経済新聞』(2021年12月9日付)によると、横浜市にあるザ・パークハウス東戸塚レジデンスでは、各住民が負担する毎月の積立金を3.5倍とする決議が、管理組合総会で採択された。同マンションは、2018年に新築分譲されたが、わずか3年で、大幅値上げされたことになる。
積立金不足の最大の要因は、修繕費の高騰だ。さくら事務所のマンション管理コンサルタント・土屋輝之氏(@mansyon_kanri)は言う。
「2000年初頭にタワマン建設が本格化して以降、大規模修繕のコストは段階的に上がってきている。アベノミクスの公共投資への期待感に沸いた2013年の夏頃と、消費増税に伴う駆け込み需要が起きた翌年。
さらに2011年の震災後の復興特需や五輪特需で、現在と15年前を比較すると、大規模修繕にかかるコストは2割以上増えている。にもかかわらず、積立金の増額の話はなかなか進まない」