母の介護のために退職した20代男性。幸せな3人暮らしが一変するまで
「私が稼ぐ」彼女の一言に感謝
「障害者になるともらえる年金もあるんですが、母は自営業で仕事してたんで、もらえる額は多くないんですよ。それだけではとても足りなくて、今うちの家計を支えているのは彼女がアルバイトで稼いだ収入です。『私が稼ぐ』って言ってくれたんで。
本当に感謝しています。結婚しているわけでもないのに、経済的に支えになってくれてますし、俺は日中はほとんどと母と2人きりの生活なので、彼女と話したりご飯を食べる時間が唯一楽しめる時間なんです」
気丈な彼女が見せた涙
そんな彼女に、荻野さんは頭が上がらない状態にあるとのこと。しかし、先の見えない日々は徐々に心を蝕んでいっているようで……。
「夜中にトイレに起きた時、彼女が玄関で泣いているのを見ちゃったんですよね。どうして泣いているのかは聞けませんでした。怖いんです……。彼女が出て行ったらと思うと……」
現在は、幸いにも母親の状態は少しずつ安定化しつつあり、在宅でできる仕事を探しているとのこと。なかなか思うような結果は出ませんが、彼女の笑顔を取り戻すべく荻野さんは奮闘しています。
<取材・文/和泉太郎>