母の介護のために退職した20代男性。幸せな3人暮らしが一変するまで
順風満帆かと思いきや、悲劇が…
選んだのは、なかなかにハードな業界だったそうです。
「光ファイバー回線の営業で個人宅にガンガン飛び込むやつです。毎月人が辞めていくような結構きつい職場でしたが、頑張った分だけ歩合で還元されるのが、自分にとってはわりと楽しくて。ちゃんと働いてるなあって思えるのが良かったんです。まだ決まったわけじゃなかったですが、彼女との結婚についてもなんとなく考えるようになりました」
公私ともに充実し、順風満帆な生活を送るようになっていたなか、突然の不幸が襲います。
「母親が脳卒中で倒れたんです。保健の営業をしていたんですが、仕事終わりに寄ったショッピングセンターのトイレで……。個室の中だったため、巡回のスタッフが来て気付くまで時間がかかったそうです……」
母親を介護するために衝動的に退職
「発見まで時間がかかったんで、後遺症はそれなりに重いものでした。身体の左側が麻痺して、脳のほうにも色々と問題が出て、まるで子供みたいになってしまい……。母は女手ひとつで俺を育ててくれて、しっかりしてたんですが、変わり果てた姿に言葉が出ませんでした。
母親はそれまでは『早く自立しろ』が口癖だったのに、なんでも俺にやってもらいたがるようになったんです。他の人だとわめき散らすんです。同居している彼女はもちろん、介護士の人もダメで。だから全部、俺がやらなきゃならないのかと思って衝動的に仕事を辞めてしまいました。今はほぼ1日中、母の介護をしてます」
衝動的に退職してしまったことを今では後悔しているという荻原さん。しかし、家計を回していた2人がともに働けない状況となってしまったため、以降は貯金を切り崩す生活になってしまったそうです。