母の介護のために退職した20代男性。幸せな3人暮らしが一変するまで
例えば両親がまだ現役世代である場合は、将来的に介護が必要になると意識することは普段の生活でも少ないはず。前触れもなく元気に生活している姿からは想像しにくいものですが、高齢でなくともケガや病気が原因で要介護状態になってしまう可能性は決してゼロではありません。
20代男性が母親の介護に悩むまで
荻原悠太さん(仮名・27歳)の身にその知らせが届いたのも突然だったそうで、以降は慢性的に日々経済的な不安を抱えているといいます。
「先のことを考えると不安で眠れなくなります。以前は自分なりに将来に希望を持っていろいろと考えていたんですが、今は日々の生活で手いっぱいで……」
大学を卒業後、定職につかずフリーター生活を送っていた荻原さんは、なんとかその状況を変えようとしていた頃に彼女ができたそうです。
彼女がきっかけで定職に就くと決意
「バイトしていたチェーンの居酒屋の同僚でした。実家暮らしの彼女は両親と折り合いが悪く、俺の家で同居することになったんです。うちは片親なんですが、母に相談したら快く受け入れてくれました」
それまで貯金することすら考えていなかったという荻原さんにとって、大きな変化が訪れました。
「自分の家庭を持ったような気分というと大袈裟かもしれませんが、それに近しい気分でした。それまでは『しばらくはフリーターで』と気楽なスタンスでしたけど、初めてちゃんと働かなきゃと思いました。飲食業は社員になると大変だという印象があったので嫌でした。でも、他に何ができるかと言えば特になくて……。とりあえず人を募集していることが多い営業をやってみることにしました」