まるでスイーツ!甘くてトロトロなクラフトビールとは?社長のビール開発に対する思い
失われた「ビールの個性」を取り戻す
――今回のビールにはとろみがあると伺ったんですが、そもそもビールってとろみを付けられるものなんですか?
山田:そうですね、とろみを出すために、タンパク質を多く残すような製法を取っています。小麦とかオーツ麦を使っていて、これらは大麦よりもタンパク質が多いので、とろみを出すことができるんです。
――クラフトビール作りに対して、どのような思いやこだわりがありますか?
山田:私としては、ここ100年あまりで工業ビールが主流化した結果、多様性が失われてモノトーンになってしまったのは残念なことだと思っています。どんどん消費者が離れてしまったわけですから。先進国では、軒並みビールの消費量が落ちてるんですね。日本でも、全盛期と比べると今は3分の1程度になってしまっています。なので、伝統的なビールの文化や個性を取り戻したいと思っています。
クラフトビールは「活動」
――ビールの個性が失われているというのは、具体的にどういうことですか?
山田:クラフトビールができる前は、世界中の大手ビールメーカーが造るラガービールが主流だったんです。もともとはチェコとかドイツで造られていたビールが、現在の大手ビールのもととなっているので、それも数あるビールスタイルの1つだったんですけど、それが製造技術や資本の発達、工業化によって、その1つのスタイルだけがたくさん飲まれるようになってしまったんですね。
――なるほど。ひとつのビールスタイルが大きくなりすぎてしまったんですね。
山田:その結果、他の個性豊かなビアスタイルが注目されなくなってしまい、それを造る会社もなくなってしまった、というのがここ100年で起こっている問題です。クラフトビールというのは、この100年で失われてしまったものを取り戻していこう、という活動なんです。昔、伝統的に飲まれていた原型のビールに、僕らなりのアレンジを加えて醸造(or 製造)しています。