井之脇海、俳優の先輩・香川照之に勧められた大学進学「行ってよかった」
向いていないと思うときがあっても
――役者業は自分に向いているから続けている、それとも好きだからですか?
井之脇:トータルで考えると向いているのかなと思います。でも向いてないなと思うときや、「もっとこういう芝居ができたらいいのに」との思いは常にあります。それも、良く言えば向上意欲と捉えられますけど。もっともっとという気持ちが絶えないのは、根っこに“好き”という気持ちがあるからだと思います。
天性の才能があったら最高ですけど、それは残念ながら、今のところ僕の中には見つけられていないので、それを補うために、好きという気持ちを持って、いかにそこに近づけるかと邁進しているのが楽しいです。
――頼もしいです。最後に、公開にあわせて同世代の読者にひと言お願いします。
井之脇:誰しもが、好きなものに対して才能があるのか、向いているのかといったことに悩むと思うんです。『ミュジコフィリア』に登場する朔は、才能もありますが、何よりも、好きなことに邁進していく素晴らしさを感じさせてくれます。その気持ちは、おそらくみなさんにもリンクするものだし、さらに後押ししてくれる作品になっていると思います。
<取材・文・撮影/望月ふみ>