伊藤沙莉が語る「めっちゃ好きだし、大っ嫌い」興味津々である“人間”という存在
自分が立っている理由になる言葉
――かおりが発した「君は大丈夫だよ。おもしろいもん」は、佐藤にそうだったように、燃え殻さん自身にとってお守りの言葉になっていたとか。伊藤さんにとってのお守りになっている言葉はありますか?
伊藤:私、役者の先輩だったり、友達だったり、いろんな人から「そのままでいて」って言われることが多いんです。もちろん、「そのままで」といっても、言う人によって私の何を見て言っているのか違うだろうし、どう捉えたらいいのか私自身よくわからないんですけど、ただ、自分を肯定するひとつの材料にはなるなと思っていて。
「そっか、今のままで私悪くないんだ」と。そう思えるだけでも、しっかり立つ理由にはだいぶなる。燃え殻さんにとっての言葉ほどの威力はないとしても、なんとか存在はしていられるなと。
嫌な大人になったなと思う瞬間
――では、いわゆる「大人」になったなと自分で感じる瞬間はありましたか?
伊藤:誇らしいほうの大人じゃないんですけど、感情と全然マッチしてない表情しているなと感じたときには、ああ、嫌な大人になったなと思うことがあります(苦笑)。「なにそれ」と思っていても、「まあ、そうですよね~」とか言っちゃったり。「ああ、もっとかっこいい大人になりたかったよ」と思う瞬間はありますね。
ただ私の場合、顔に出やすいタイプなので、そんな頻繁にはないんですけど。それでも言いたいことを、ちゃんと言葉にして言わないときには、これはあまりよろしくない傾向だなと感じることがありますね。
――そうした処世術みたいなものは、伊藤さんは早くから、それこそ多くの大人たちに囲まれて、10代くらいでも感じていたんじゃないですか?
伊藤:そうですね。そういう時期は、「子どもです!」ってことをあえて言ったりやったりしていました。分かっていても分からないふりをするとか。そういうことは無駄にやっていましたね。